諧謔
我の在りし日
腐乱せむ

短歌と俳句と詩
我々のたましいは覚えている
一皮むけば、臓物と憎悪がそこにねむること
でも、そこにたましいがあると、なぜ信じられるのだろう
我々は我々しか知り得ないというのに

手で触れて感じるぬくもりと、その奥深くねむる痛み
それらだけがほんとうのことで、ならばそれらこそがたましいなのだろうか

あの眼窩に咲く花のように


20200519詩

果てもなし硬音ひびく暁闇に冷えた四肢寄せ潮騒いだ

血肉など形骸化して久しくも、まだあなただけ待ち望んでいます

躑躅つつじ触れまるでくちづけ戴いて彼方の君は我踏み荒らす


20200517-0518短歌

行方知る玉響合った目の奥に

行方知る終日睨んだ渦中

喧騒を尾ひれもつけずかいてゆく

黒い海溺れゆきて貝となる

抗えぬ重みに閉じた二枚貝

歴史めく水圧積もる音もなく

懐く核行方知れずのひとだった

目を覚ますバロックパールのぬくもりに



「忘れてた、あなたと出会う前わたし、息もできない貝だったこと」


20200515自由俳句と短歌

きみの身を苛むいばら捨て去って、ここがいつかの終点です


腑分けをす 水晶体探すため まだ生きているかも知れぬから


放たれた光芒ふかく腑に落とす 胸のひびからこぼれぬように


相棒と、この身に余る幸福よ わからぬ背中にらんだ日すら


背姿せすがたを惜しむ暮れすら忘れゆく粘土細工捏ね上げただけ


202005ログ-4

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