諧謔
我の在りし日
腐乱せむ

短歌と俳句と詩
もうつらいことなどきっと起こらない。だからおねむり、まぶたを閉じて。


花恋し降り触れ埋めたかの神の御髪も染まる青き散り際


お互いをふさげぬままで息かさね「我が悪辣はおまえにあげたの」


泣かないで、指差し追おう星々を。きみが悪ならぼくも同じさ。


梓弓朝な夕な爪弾けど番えし光陰じゅうねん白雨とひかる


202005ログ-3

行き止まり迷い路歩み笑われどぼくは間違うきみに幾度も


むらさきときんの夜明けに漕ぎ出さん雲母つらぬけ我らの羅針


ためいきのために貴方が目蓋閉じおちる影すらひかりとおもう


「麗らかな日はかなしいね」経典聞き做すきみの季節を踏みて


しあわせであってほしいと願ってるそれが、愛だろうがなかろうが


202005ログ-2

きんいろのもやが町へと横たわり夢路ゆくきみ遠く手をふる


引き絞る睛眸不意に我射抜き鋲穿たれん展翅板上


花冷えも、その鋭さに敵うまい。快刀めいたおまえのしじま


一匙でほどけ崩れて消えてゆく後味ばかりが愛しいあなた


「忘れるな」爪の一刀あざやかに恋かの如き花燃え盛る


202005ログ-1

白日に暴かれようと赤懐き千切れぬ小指我らふたりの


花風か或いは喪失運ばれた蜃の溜息木霊す虚ろ


外套の中へお入り街の隅 追われふるえる暗がり招く


202004ログ-6

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