諧謔
我の在りし日
腐乱せむ

短歌と俳句と詩
聞こえたか我の胸元こんとんの潮騒めいた産声たちが
―二〇二〇年五月二九日

ゆらゆらとあたかもそれは揺籃で羊水恋し涙す夢路
―二〇二〇年五月二九日

安堵生むさりとて海は我呑まぬ義母です義母で、そう、義母でした
―二〇二〇年五月二九日

引き上げるこんとんのなか光るものときに浜辺の一粒に似た
―二〇二〇年五月二九日

袂よりすべり落ちゆく軌跡追う喧騒紛れやがて消えても
―二〇二〇年五月二九日


105首〜109首

朝もやはどうしてひかるの教えてよこれがさいごのお願いだから
―二〇二〇年五月二二日

頭上にて踊る花から逃げ惑う極彩色だ地獄の蓋は
―二〇二〇年五月二七日

触覚も弄っている秒針も同じ姿で肥大化してる
―二〇二〇年五月二八日

角生えてここらが潮時鐘が鳴る供養をどうもと百鬼夜行
―二〇二〇年五月二七日


101首〜104首

誰ぞなり敷いた季節はいびつだと我ら笑って入れ替え遊ぶ

まちあかりひとつひとつを吹き消してきみの手を取り夜明けに駆けた

花言葉「約束」或いは「復讐」似合わぬ花冠かかんわらう指先

尾ひれまで赤く広げて掬えずに和紙を破ったおれを恨むか

輪っかのる頭になれどいまはまだ掌おいていてくださいね

夜のさき愛と罪とを百語るとうにぼくらは永遠でした


20200520短歌

うなじ撫ぜ、鼓膜を覆って愛撫なら。胸底響くそれは耳鳴り。

プラナリア這う悍ましい夜更けではすすげもせずにシャツのしわ増す

棺へと焚べようひかりきみをもう孤独にさせぬ多くのひかり

花咲かすやがて放つ火のためのわたしと共にここでねむろう


20200519短歌

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