擦り切れた愛しテープを手繰り抜くレテへと流れよもう紐解かぬ
にくしみも我が胸底に残らぬと諸人過ぎて虚ろが住まう
有り体に肌へ宿りし腐敗熱ぬくもりめいてゆるせなかった
舞い上がれ手より逃れし花なればどうかどうか、どうか遠くへ
隔てられなお捨て難きあこがれのよもや誘い此岸の警鐘
202003ログ-4
亡霊よ、虚飾まみれ尊さも、とうの昔に過去へ消ゆ
よろめいた背骨のきざはしかけぬけて産毛は稲穂ひととせの夢
絶命にもがく羽撃き鳴かずとも果ててころがる我のふるさと
きらめきの陰にひそむと云うけれどありふれてるさくだらぬほどに
御仕着せてひどく平らに慈しむ惨さ気づかぬ盲唖の白墨
202003ログ-3
皮を剥ぎ、下ごしらえは丁寧に爪四肢目と歯こころは最後のおたのしみ
線路沿い、千切れたつばさ取り取りに滅ぶ季節の手向けと見紛う
ことばなぞ恋に要らぬか翅の音は季節外れど乞うて鳴く
肉袋肥えるはことばわらわせる人間百年? 泣けもせぬのに
酸素吸い、言葉は通じなのになぜ、きみ視しせかい私と違う
202003ログ-2
てざわりと、かおりかたちを確かめる きみはいました 悼んだよ
くしけずる乱麻が如き襟足を、断ち切るゆうきが欲しかった
薄ら氷をくだきし幽体今もなお血潮のあつさを忘れられぬと
海のうえ、茨で編みし船を漕ぎ きみの眼の朝日をひろう
糾った想いは解けぬものだから絞め殺す用意はできている
202003ログ-1