2019/11/13
カスミイッカク/コハルスミレト
・追記がカスミイッカク
・恐らくボツになる
・ハルアカツキニテのifな話
(ナマエの教え子がbrt入りしてる)
==
・書きたいところだけ書くifルート
ねぇ、先生、この写真の人はだれ?
そう尋ねた私に先生は困ったように笑った。写真に写っている男の人は先生が化けるカゲマルじゃない。不意打ちで撮られるいるようで、先生なんかはお団子を加えたままだった。見たことのない彼も緩く笑っているのがわかる。
「先生の、大切な人かなぁ」
もう会えることはないけれど。
先生はそう言って、私の頭を撫でたのだ。柔らかく笑って。その表情はいつもは見せないような悲しげな表情で、私はなんとかしてあげたいな、と幼いながらに思ったのである。近所を探しまわってもその人は見つからなかったのだけども。
ーーまぁ、そんな穏やかな日が潰えるとは私も兄弟達も思ってなかった。何故なら先生は強くて強かだっからだ。弱点はないと私達は思っていた。でも、私達が先生の弱点だったのだ。襲ってきた何かに私は闇に引き込まれる形になりーー伸ばされた先生の手に私の手はかすめるだけで、私は暗闇に沈んだ。息苦しさはなかった。ただ、意識を失っただけ。気がついたときには全く知らない場所で、知らない人たちに囲まれていたのだけど。足元には草が生えているけれど、いつも駆け回る庭の草ではない。
「大丈夫か?」
そう覗き込んだ人は黄色の髪を短く切った男の人だ。その隣にいる男の人たちは私を見下ろしている。思わず後ずさって、私は絞り出すように口を開いた。
「えっと、あの、ここは、どこですか、あなたは、だれですか」
私の言葉に彼は目を見開いた。彼だけじゃなく周りもそうだった。
「とりあえず話を聞いた方がいいか」
「火影を知らないなんてありえるかな」
「記憶喪失なのかもしれない」
そんな話をよそに、私は後ろに下がる。ただでさえ、大人に囲まれるのは苦手なのだ。ジリジリと下がっていれば、黄色い男性がそれに気付いてしゃがんだ。怖かったな、ごめんな、と謝った彼は私の頭をなでた。
「大丈夫だってばよ」
それは、とても安心できる言葉だったのだ。
ここは本当にどこなんだろうか。抱えられて移動するけれど、何一つわからない。顔が彫られた岩も、街並みもさっぱりだった。岩の中には今私を抱えている人の顔もある。あ、と声を出せば彼はこちらをみた。
「どうした?」
「えっと、もしかして、偉い人、ですか?」
「うーん、やっぱ記憶がないのか……」
「記憶はあります、でも、貴方達のことはさっぱりです」
「他の里からきたの?」
「里?」
色白男性の言葉に私は首をかしげる。とりあえず通された場所は警察署のような場所だった。警務部という文字とうちわのマークがかかれている。
「えっと」
「ゆっくりでいいから、自分のこと話してくれるかな」
「お兄さんは、警察なんですか?」
「けいさつ……?」
「えっ、違うんですか?」
首をかしげれば、彼は何かを考えーーそうだよ、と笑顔で肯定した。となるとここは日本で間違いなさそうだ。見たことがない場所だけども、私の行動範囲が狭かったから知らなかっただけだろう。ホッと息を吐けば彼は口を開く。
「君の名前を聞いてもいいかな?」
「ヒムロです」
「ヒムロだね。君はどうしてあそこにいたかわかる?」
その問いには首を左右に振る。さっぱりだ。
「記憶はあるんだったな。最後の記憶は?」
「家の庭でなんか黒いのに捕まったのは覚えてます」
「黒いの?」
「底無し沼みたいな……先生が誰かと言い争ってたのは聞こえたんですけど……」
そこまで言ってから気づく。この人達が犯人では?私の考えを呼んだらしい男性が首を左右に振った。
「俺たちは関与してないぞ」
「その先生っていうのは?」
「私の親代わりの人です。一緒に暮らしてます」
「その先生の名前はわかる?」
尋ねられた言葉に頷く。先生は顔が広いから、もしかしたらこの人たちも知ってるかもしれない。
「苗字ナマエです」
そういった瞬間、彼らは目を大きく見開きーー私は一瞬で暗闇に落ちたのだけれど。
==
「ヒムロ!」
そう言って私の肩を掴んだのは先生だ。真っ白な世界で、彼女は私を抱きしめる。よかった、生きてはいるんだね、と少しくぐもった声で告げた彼女はみるからにボロボロになっていた。この人は優しい人だ。私達はみんな彼女に救われた。私のあにがわりとなった2人にしろ、私にしろ、過酷な場所にいたのに彼女が救ってくれたのだ。それは私達だけでなく、親にも言えるとは近所の和尚様の話である。それだけでも優しいというのに彼女(もしくは彼)は私達に重点を置くのだ。自分の命よりも赤の他人である私達に。だから、ということもある。私も彼らも実の親以上に彼女を慕っていた。だから、私の涙腺は決壊した。怖かったのだ。
「ヒムロ、今はどこにいるんだい?」
そうのぞき込むようにみた彼女に私は鼻をすすりながら口を開く。
「よくわからないばしょ」
その言葉に彼女はあまりいい顔をしなかった。いくつかの言葉をぽつりぽつりと話していれば、不意に真っ白な空間に誰かが現れる。金髪の女の人だ。先生は一瞬で私を後ろに隠したけれど、そこにいた人を見て驚いたようだった。女の人も同じように目を見開いた。
「ナマエ?」
「あぁ、やっぱり、いのちゃんだったか」
先生は少し安堵したような声色で告げた。久しぶりであってる?と聞いた先生に彼女は思わずといったようにかけてきてーー先生に抱きついた。
「よかった、生きてたのね!」
「一応はね」
先生はそういって彼女の肩を叩いた。そして、何かを理解した。そうか、と告げた彼女は困ったように笑った。
「君たちが大人ということは、それだけそちらの時間はながれてしまったのか」
カゲマルの口調だ。いのちゃんと呼ばれた彼女は少し体を離す。
「ナマエ、今どこにいるの。あの大戦の後から、ナマエやマゴイチをみんな探してるのよ」
「……君たちが来れる場所じゃない……って言いたいけれど」
先生はそうワンクッションおいて私を見下ろした。
「ヒムロがそちら側に行ってしまったから何も言えない。ただ、普通は行き来できる場所じゃないのは確かなんだ」
「普通に行き来できる場所じゃない?」
「そう。でも、この子は君のいる木の葉隠れにいるんだろう?」
「じゃあ、その子は」
「私の実の子供ってわけじゃないけどーー子供みたいなものかな。襲撃されてね、この子だけが術に取り込まれてしまった」
先生は悔やむようにそう告げた。彼女は「そうだったのね」と小さく告げる。
「じゃあ、いきなり眠りこけちゃったのはナマエの術ってわけだ」
「そうだね。無事を確認するには夢を渡るしかなかったんだよ」
「……迎えに来れそう?」
「今は無理だ。もう少し時間がかかる」
先生の言葉に私は動きを止めて先生の足をつかむ。先生はぽんと私の頭を撫でた。そしていつもの笑みで笑った。
「大丈夫、ヒムロ。先生が必ず迎えにいくよ。ヒムロがたどり着いた場所は先生が昔過ごした場所なんだ。だから、安心していいよ」
先生はそう言って私の目線に合わせて屈む。ちか、ちか、と先生が瞬くように消えていく。
「先生が必ず迎えにいく。僕がーー私が嘘をついたこと、あった?」
それはない。たったの一度も。だから、私は首を左右にふった。
「大丈夫、迎えにいくよ。……いのちゃんごめん、この子を頼むね。ナルトくんやヤマトさんによろしく言っておいて」
「……わかった」
そう頷いた女性に、先生は笑うと木の葉を散らして消えた。その瞬間、世界が暗転したのだけれど。
==
...more
Comment(0)
次の日 top 前の日