キスひとつで絆される月曜日


額にひやりとした感覚がして目が覚めた。
今日は遅くなるから早く寝ていいよ、と言われてベッドに入ったのは23時だった。今は何時だろう、腕を伸ばして充電中のスマホを手探りで探す。電源ボタンを押して確認したら、ちょうど2時を過ぎた頃だった。


「悟、おかえり」
「ただいま。起こした?」
「ううん、顔見れて嬉しい」
「僕もなまえの顔見れて嬉しいよ」


お疲れさまの意味を込めて、ふわふわの髪の毛に触れた。まだ生乾きの髪が少し冷たくなっていた。さっき額に触れたのはこれだったのか。気持ちよさそうに目を細める悟はまるで子供の用だった。今日は私が抱きしめて眠ろうとぎゅっと悟の頭を抱きしめた。


「髪まだ冷たいよ?」
「乾かしてきたんだけどなぁ」
「そんなに急いでたの?眠かった?」
「ううん、早くなまえのところに来たかった」


すりすりと私の胸に顔を寄せて、悟が呟いた。嬉しい気持ちと風邪ひくんじゃないかって心配な気持ちが交差する。人の感情は複雑だ。次からは私が起きて髪くらい乾かしてあげよう。


「悟は今日も一日がんばりました」
「なまえも今日もがんばったね」
「私はほどほどにしかがんばってないよ」
「でもがんばったよ、明日もがんばろうね」
「悟はほどほどにね」
「うん、明日は早く帰るようにする」
「じゃあおいしいご飯とデザート用意して待ってる」
「嬉しいなぁ」


ちゅ、と悟の額にキスをする。私の腕の中から私を見る悟が「口がいいなぁ」と駄々をこねる。今夜は本当に甘えたらしい。焦らすようにもう一度額にキスをして、次に瞼に、鼻先に、頬にとキスをしていく。「まどろっこしいのやだ」と私の顔を両手で掴んだ悟が私の上に馬乗りになって、唇にキスを落とす。くっついてすぐ離れてを何度も繰り返す。甘えたはどこへいったのか、いつの間にか主導権は悟が握っていた。


「やばい、スイッチ入りそう」
「明日も仕事なんだからダメだよ」
「ほどほどでいいってなまえが言ったんじゃん」
「それは言ったけど」


もう一度重なった唇は舌先でこじ開けられて、ぬるりと咥内に入り込んだ。額に触れる悟の前髪はまだ少し冷たい。口の中から解されて、私のスイッチをひとつひとつ悟が押していく。あぁ、きっとこれはもう抗えない。まだ月曜日なのに、前途多難だ。