「疲れた…ってかどんだけ呪霊放り込んだのよ…」


また1体呪霊を倒し終わり、スズは空を見上げながらそう呟いた。

パンダの読み通り、スズは恵班から離脱し1人で呪霊狩りの真っ最中。

さっきからやたらと寄って来る低級呪霊をひたすら倒していた。

1体1体は弱く瞬殺レベルなのだが、何せその数が多く、スズは式神をフルで使いながら何とか応戦していた。


『おい、スズ大丈夫か?』

「お〜カグツチ〜大丈夫だよ。ありがと。」

『はぁ〜…全然大丈夫に見えねーよ。』

「ちょっと疲れただけだから平気だよ。少し休んだらまた動けるから。」

『…いや、オマエはもう動かなくていい。俺らがやるからスズは休んでろ。』

「へ?何、急に…!」

『俺らを呼び出してるだけで相当な呪力消費するんだから、これ以上使ったら死ぬぞ?それよりは体休めて呪力を回復させた方がいい。』

「いや、でも『分かったな?』

「…はい。」

『ん、よし。じゃあ行ってくるから。他の奴らにも伝えとく。』

「うん。…あ、カグツチ!」

『ん?』

「ありがと…!」

『ふっ…おう。大人しくしとけ。』


そう言って式神の1人である火の神・カグツチに頭を撫でられると、スズは静かに木陰に腰を下ろした。

一般的に主従関係にある式神が主に意見することはあり得ないのだが、彼女の場合は少し違っていた。

この式神達は元々彼女の両親に仕えており、スズが陰陽師として活動し始める時に譲り受けたのだ。

故に知識や経験は式神達の方が優っているため、偶に…いや、結構頻繁にこういったやり取りがなされている。


そうして20分も経っただろうか…

呪力の大量消費と純粋な体の疲れから、木に寄りかかってすっかり眠りこけているスズ。

5人の式神達が呪霊を倒しつつ主を守っているのだが、その隙をついて1体の呪霊が近づいてくる。

いつもであれば、寝ていても呪力を察知しすぐに目を覚ますのだが今回は違った。

呪霊が目の前まで来ても一向に気づく様子のないスズはあまりに無防備で…

相手がいくら低級とはいえ、ノーガードで攻撃を受ければ最悪命を落とすことだってあり得る。

今にも呪霊がスズに手をかけようとした、その時…!


「"潰れろ"」


どこからともなく聞こえてきた声によって、呪霊は音も立てずあっけなく消滅したのだった。



to be continued...



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