パンダ班から離れ、1人森の中を行く狗巻。

少しでも早くスズと合流するため、彼女へ電話をかけながら走っているのだが、さっきから一向に繋がる気配がない。

パンダが気にしていたことが頭をよぎり不安に襲われていた狗巻は、ふと感じ取ったスズの微弱な呪力に反応しスピードを速めた。





第36話 京都姉妹校交流会 ー団体戦Cー





呪力の発生元に駆けつければ、そこには木にもたれて目を閉じる後輩の姿があった。

そしてその目の前には今にも彼女に手を出そうとしている低級呪霊。

瞬時に周りに仲間がいないことを確認してから、狗巻は呪言を発動する。


「"潰れろ"」


あっけなく消滅した呪霊を横目に見ながら、狗巻はスズに駆け寄り顔を覗き込んだ。

彼の心配を他所に、目の前の少女の顔はとても穏やかで寝息も安定していた。

安心した狗巻がそっと頭を撫でると、熟睡していたスズに動きが…!


「……棘先輩?」

「良かった…また遠くに行っちゃったかと思った」

「! ごめんなさい、心配かけて…」

「…今度任務終わりのカフェ付き合ってね」

「はい、喜んで!」


スズが明るい笑顔でそう言えば、狗巻もまた嬉しそうな笑みを見せる。

それからスッと真剣な表情に戻ると、狗巻は今のこの事態について問いかけた。

いつ襲われるか分からない交流会という状況の中で、スズがこんなにも深い眠りにつくなんてあり得ないことなのだ。


「スズが戦いの途中で寝るなんて珍しいね。呪力もかなり少ないし…何かあった?」

「あ、それが…」

『スズ大丈夫か!?…って、棘じゃん!』

「カグツチ。スズ、式神呼び出してたの?」

「はい」

『しかもフルでな』

「5人も?何で?」

『スズの周りにやたらと呪霊が集まってくんだよ。10、20じゃねーぞ?もう100は倒したかな』

「!」


眠気が強くうつらうつらしているスズを支えながら、狗巻はカグツチと言葉を交わす。

そうして式神から告げられた事実に、彼の不安は現実のものとなった。

自分に寄りかかってまた寝息を立てるスズに少し視線を向けながら、狗巻はパンダが言っていたことを話し始めた。


『はぁ!?何でスズが狙われなきゃいけねんだよ!!』

「スズみたいにイレギュラーな存在は、上から煙たがられるんだって」

『だからってイベント中に殺していいのかよ!』

「いいわけない。そうならないために、ここからは俺がスズの傍にいる。だからカグツチ達は一旦下がって」

『何でだよ!』

「式神を出し続けるには呪力が必要でしょ?今のままじゃスズの呪力はいつまでも回復しない。

 だから一旦全部やめて、呪力を完全に回復させる。回復すれば、またカグツチ達を呼び出せるから」

『…その間、オマエがスズを守ってくれんだよな?』

「もちろん」


狗巻の力強い言葉と眼差しに、カグツチは渋々ながら納得の意を示した。

そして彼は他の4人と共に一旦姿を消すのだった。



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