「女の好み?なんで今そんなこと聞くんだよ。」
「気にするな。ただの品定めだ。」
「よく分かんねぇけど、強いて言うなら…」
「…」
「尻と身長のデカい女の子…かなぁ…」
「!」
「あ、でもスズはちょっと違うタイプか…」
東堂からの質問に、伏黒とは違い具体的な答えを述べた虎杖。
その答えを聞き、当の質問者の脳内には存在しない記憶が溢れ出していた。
第35話 京都姉妹校交流会 ー団体戦ABー
しばらく虎杖を放置したまま自分の世界に入っていた東堂だったが、ふと意識を戻した時には大量の涙と鼻水を垂れ流していた。
あまりに異様な光景に、虎杖は戸惑うばかり…
「地元じゃ負け知らず…か。」
「?」
「どうやら俺達は"親友"のようだな。」
「今、名前聞いたのに!?」
「うん、そのまままっすぐ。でも東堂君いるよ。」
携帯でそう話しながら、上空より虎杖・東堂を見張っているのは、京都校の西宮だった。
そして次の瞬間、虎杖は残りの京都校メンバーに取り囲まれていた。
------
----
--
時刻は少し遡り、東京校メンバーが虎杖と別れて少し経った頃…
それぞれの班で、散らばると思っていた京都校メンバーの動きがおかしいことに気づき始める。
「…恵。」
「だよな。」
「2人共どうした?」
「先輩、変です。」
「変、って何が?」
「京都校の人達がまとまって動いてて…」
「虎杖と別れた辺りに揃ってる感じがします。」
「二級呪霊がそっちにいるってことか?」
「いや、2級なら余程狡猾でない限り玉犬が気づきます。それにこっちには呪力探索のプロもいるし。スズ、違うよな?」
「うん。二級呪霊はさっきからそんなに動いてないです。」
「…京都校、虎杖殺すつもりじゃないですか?」
「…あり得るな。」
走っていた足を止め、3人は森の中でそんな会話をする。
玉犬を撫でながら呪力を探り続けるスズと目配せをして、伏黒は恐ろしいことを言ってのけた。
しかし同じような会話はパンダ班の方でもなされていた。
「こんぶ。」
「確かにそこまでの敵意は感じなかったが、ありゃ悠仁生存サプライズの前だろ。」
「!」
「楽巌寺学長の指示なら全然あり得る。」
「他人の指図で人を殺すような腑抜けの集まりなの?京都校は。」
信じられないという顔で問いかける釘崎に、パンダは答える。
"虎杖と過ごした日常がない人間からしたら、宿儺の器は恐怖の対象でしかない。"
そしてさらに付け加える…"スズもまた危ない"と。
「えっ!?何でスズまで…!」
「スズが陰陽師なのは知ってるよな?」
「もちろん。」
「陰陽師っていうのは、基本加茂家以外は認められてないんだよ。それに加えてアイツは呪術師だろ?そういう変な肩書の奴は上に疎まれるもんだ。」
「だからって…!」
「おまけにスズは悟のお気に入りだからな。この機会に消せれば万々歳って感じだろ。」
「スズはやっぱりあのヤバイ大人と距離を置くべきだわ…」
虎杖だけでなくスズまで攻撃対象になっている可能性があるということで、東京校は作戦を変更せざるを得ない。
恵班から伏黒と真希、パンダ班からパンダと釘崎がそれぞれ虎杖の元へ戻ることになった。
では残りの狗巻はというと…?
「俺と野薔薇は戻って悠仁の安否を確認する。電話でねぇし。棘はこのまま呪霊狩りを続けてくれ。」
「おかか。」
「オマエも悠仁が心配なのは分かるよ。でも俺の妄想が正しければ、京都校がやろうとしてんのは団体戦のゴタゴタに乗じた悠仁暗殺。団体戦が終われば暗殺もなしだろ。」
「しゃけ。」「なるほど。」
「あと棘には一刻も早くスズと合流して欲しい。」
「!」
「真希と恵は俺ほど心配性じゃないから、きっとスズを1人で呪霊狩りに行かせる。
何も起こらなければそれでいい。でも万が一何か仕掛けてきた場合、1人より2人の方がいいに決まってるからな。」
「しゃけ!」
「真希のこともある。悠仁もスズも殺させないし、団体戦にも勝つぞ。」
「当然。」
こうして作戦が決まると、パンダと釘崎は京都校の面々が集まっている場所へ向かった。
そして狗巻もまた、スズと合流すべく足早に森の中へ消えて行った。
- 124 -
*前次#
ページ:
第0章 目次へ
第1章 目次へ
第2章 目次へ
第3章 目次へ
第4章 目次へ
第5章 目次へ
第6章 目次へ
章選択画面へ
home