スズと狗巻が呪霊を倒しながら森の中を歩いている頃…

釘崎と西宮の戦いに真依が助太刀として入り、釘崎の棄権という形で決着がついていた。

そしてその流れで今度は東京校から真希が参入し、勝負は禪院家の戦いへと移行していく。

双子の姉妹の戦いが徐々に激しさを増していく中、姉である真希の頭には交流会開始前の"とある出来事"が浮かんでいた…





第38話 京都姉妹校交流会 ー団体戦G➈➉ー





交流会開始直前…

虎杖はスズ、釘崎、パンダに物影へと呼び出されていた。

そして開口一番、釘崎から質問が投げかけられる。


「アンタ、真希さんのことどう思う?」

「(どう答えても角立ちそう!!)」

「ん?悠仁、何でそんな怖い顔してんの?」

「あ、いや…と…とても…素敵な…女性かと…」

「あ?術師としての話よ。」

「あ、そっち?良かった…」

「ふふっ。」

「スズ、笑うなよ〜」


楽しそうに笑ったスズと目を合わせた虎杖は、そう言って同じように笑みを見せた。

以前よりも何だか親しげに見えるスズと虎杖。

そんな2人の様子に、釘崎はいち早く気がついたようで…!

伏黒の、まだ本人でさえ気づいていないスズへの気持ちを想像すると、彼女は今後の3人のことを思い人知れずニヤリと笑った。

釘崎のそんな変化には全く気づいていない虎杖は、物影からひょこっと顔を覗かせながら質問に対して答え始める。


「正直、呪術うんぬんはまだよく分かんねぇけど…ケンカは超強い。重心っていうか、歩き方でもうヤバい。」

「悠仁、いい目してる〜!」

「ん?」

「真希さん、4級なの。」

「え"、マジ?」

「家が面倒な術師の家系でね、セルフ勘当みたいに出て行った真希さんの昇級邪魔してんのよ。」

「呪術師の家系なら、強い術師は大歓迎じゃねぇの?」

「一度否定したものを認められないのよ、バカだから。」

「本当バカだよね〜頭かたすぎ。だからこそ、この交流会よ!ねっ、パンダ先輩?」

「そっ。交流会で活躍して真希の名前がある程度広まれば、そういう嫌がらせも難しくなるよな。」

「そのためにまずは団体戦で勝つ!!アンタももういっぺん死ぬ気でやんなさい。」

「はい…」

「聞こえてんぞー」


コソコソ話していたつもりが、ヒートアップしたのか声が大きくなっていた4人。

話題の中心であった真希からお声がかかり、スズと釘崎は恥ずかしそうに視線を合わせた。

同期や後輩からの優しい心遣いに、真希は珍しく照れたような表情を見せるのだった。


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「フッ。」


交流会開始前のそんなやり取りを思い出し、真希は戦いの最中にも関わらず穏やかな笑みを見せる。

自分のために、きっと今この時も頑張ってくれている仲間がいること…

それは彼女にとって何よりも心強いものだった。

そうして仲間の想いを強さに変えた真希は、双子の妹である真依を圧倒し見事勝利をおさめた。



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