スズと狗巻が謎の特級呪霊と出くわしていた頃…
伏黒と加茂の戦いも激しさを増していた。
式神使いとは思えない伏黒の立ち回りに、加茂は先輩として賞賛の言葉を述べる。
「近接戦でここまで立ち回れる式神使いは貴重だよ。成長したね、嬉しいよ。」
「ちょいちょい出してくる仲間意識なんなんですか?」
「共感さ。君はゆくゆく御三家を支える人間になる。」
そしてこう続ける。
"私は虎杖悠仁を殺し、木下スズを再起不能にするつもりだ"
それを聞いた瞬間、伏黒の表情がスッと変わった。
第39話 京都姉妹校交流会 ー団体戦Jー
「…楽巌寺学長の指示ですか?」
「いや、私個人の判断だ。」
「…スズを再起不能にするのは、陰陽師だからっていう理由だけで?」
「むしろそれ以外に理由があるかな?」
「アイツが加茂家に何をしたんです?名門でもない田舎の陰陽師1人に、何でそこまで…」
「君も知っているだろう。加茂家以外の陰陽師は認められていないんだ。だからその存在自体が「怖いんですか?」
「…どういう意味かな?」
「加茂家以外の陰陽師なんて、探せば腐るほどいるでしょ。そいつらのことは無視してるのにスズだけを目の敵にするのは…
アイツの力を恐れてるからじゃないのかって言ってるんです。実際スズは陰陽師としてだけじゃなく、呪術師としても力を伸ばしてきてますからね。」
「口には気をつけた方がいい。君が何と言おうと、それが御三家…加茂家の人間として正しい判断だと思っている。」
目の前の1年生を、いずれ御三家を支える人間として会話を進める加茂。
だが伏黒自身は微塵もそんなつもりはなく、話は平行線のまま…
彼は言う。
"俺は自分の良心に従って人を助ける。それを否定されたら…"
「呪い合うしかないですよね。」
「!」
そう言うと、伏黒は新しく調伏した式神・"満象"を使いながら加茂を終始圧倒する。
続けて"鵺"も呼び出し、2人は戦いの場を外へと移した。
それぞれの想いを抱え、双方が再びぶつかり合おうとした、その時…!
轟音と共に、突如大木が天を突き破る勢いで出現した。
大木から伸びてくる大量の枝に驚き声を上げる加茂。
その中で伏黒は1人の見知った人物を発見した。
「なんだこれは!!」
「! 狗巻先輩!?」
「!」
「ってことは……あっ、スズ!!」
「恵…!」
「"逃・げ・ろ"」
狗巻の姿を見つけてからすぐに、一緒に行動していたであろうスズを探す伏黒。
どちらも無事なことに安堵したのも束の間…
2人の焦った表情から、相手が相当ヤバイものだということを察した。
呪言師の一声でひとまず攻撃を回避できた伏黒達だったが、その直後に空に現れたのは…謎の呪詛師が作り出す真っ黒な"帳"だった。
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