時は少し遡り、スズ達が特級呪霊と出くわした時間へ…

目の前に現れた呪霊にとても見覚えがあったスズは、相手から目を離さず小声で狗巻へ声をかける。


「先輩、コイツはヤバイです…」

「! スズ、知ってるの?」

「はい。前に悟先生が特級呪霊に襲われたことがあったんですけど、コイツはその呪霊の仲間です。」

「てことは、この呪霊も特級ってことか…」

「呪力量からしても間違いないです。」

「…一旦距離取ろう。ここじゃ何するにしても狭すぎる。」

「了解。四獣召喚…"南方朱雀"!」


スズの掛け声に応えるように、どこからともなく朱色の体を持った巨大な鳥が現れる。

そして2人をその背中へ乗せると、特級呪霊の攻撃をかわしながら空へと舞い上がった。


「朱雀、このまま少し広いところまでお願い!」

『キィィイ!』

「スズ、ありがと。それにしても…確かにあれはヤバイね。」

「はい…しかもさっきから他にも怪しい呪力を感じるんです。敵は1人じゃないかも…」

「他の皆が早く異変に気づけばいいけど…あっ、スズ!あそこにしよう!あそこなら視界が開けてる。」

「らじゃ!」


狗巻の指示に従い、建物に囲まれている中庭の方へ朱雀を誘導するスズ。

そうして建物の屋根に着地した2人は、特級呪霊が繰り出す攻撃を避けながら屋根の上をひた走る。

と、その時…中庭の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「! 狗巻先輩!?」

「!」

「ってことは……あっ、スズ!!」

「恵…!」

「"逃・げ・ろ"」


狗巻の呪言で伏黒・加茂の両名を避難させると、スズ達もまた屋根から降り2人と合流すべく中庭に向かった。

その途中、不穏なものを感じ取ったスズが天を振り仰げば、そこには真っ黒な"帳"が今まさに生み出されるところだった。

普段の"帳"とは違う何とも言えない嫌な雰囲気に、スズは本能的に携帯を取り出し"ある人物"へ電話をかける。

1コール目が終わらないうちに電話口に出たその人物は、名前を呼ばれるとすぐに反応して会話を進めた。


「悟先生!」

『"帳"のことか?』

「うん!この"帳"、すごく嫌な感じがするんです…普段のものと何か違ってて…!」

『スズ、落ち着け。今俺らもそっち向かってる。』

「はい…!あ、でも先生はこの"帳"に近づかない方がいい気が…って、あれ?切れた?」

「どうしたの、スズ?」

「今悟先生に電話してたら、急に切れちゃって…」

「(妨害電波でも出てるのか?)とりあえずまた後でかけてみよ!」

「そうですね…!」


そんな会話をしながら、スズと狗巻は伏黒・加茂ペアの後を追っていくのだった。



to be continued...



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