複数のモニターで生徒達の様子を監視しながら、交流会を見守る教師陣。

だが静かだった室内に突如動きが…!

壁にかけられた呪符がすべて赤い炎で燃え上がったのだ。

暗雲はもうすぐそこまで迫って来ていた。





第40話 賢者





急な展開に、さすがの教師達も戸惑いを隠せない。

それぞれがあらゆる可能性を考え、意見を出し合っていた。


団体戦ゲーム終了…?しかも全部東京校あかいろ!!」

「妙だな。烏達が誰も何も見ていない」

GTGグレートティーチャーゴジョーの生徒達が祓ったって言いたい所だけど…」

「未登録の呪力でも札は赤く燃える」

「外部の人間…侵入者ってことですか?」

「天元様の結界が機能してないってこと?」

「外部であろうと内部であろうと、不測の事態には変わるまい」


一通り意見が出揃ったところで、東京校学長である夜蛾が次の行動を決めていく。

上層部への連絡、この場での監視、そして生徒達の保護…

指示が出ると、各自すぐに行動を始めるのだった。


「俺は天元様の所に。悟は楽巌寺学長と学生の保護を。冥はここで区画内の学生の位置を特定、悟達に逐一報告してくれ」

「委細承知。賞与期待してますよ」

「ほらお爺ちゃん、散歩の時間ですよ!!昼ごはんはさっき食べたでしょ!!」

「急ぎましょう」


ふざける五条を無視して、楽巌寺と歌姫はさっさと建物を出て行く。

2人を追うように出て行った五条だったが、走り出した途端ポケットの中の携帯が音を立てる。

画面に表示された名前を見るや否やすぐに通話ボタンを押すと、トップスピードで走っているとは思えないほど穏やかに会話を始めた。


『悟先生!』

「"帳"のことか?」

『うん!この"帳"、すごく嫌な感じがするんです…普段のものと何か違ってて…!』

「スズ、落ち着け。今俺らもそっち向かってる」

『はい…!あ、でも先生はこの"帳"に近づかない方がいい気が…』

「スズ?…切れてる(どんな"帳"でも、"帳"である限り回線に影響はない…俺との関係性を知った上でスズの携帯だけ遮断したのか?)」


想い人との通話をぶった切られたことに舌打ちをしつつも、五条はすぐに頭を切り替える。

電話が繋がらないなら、直接顔を見て話せばいい。

少しでも早くスズと合流するため、五条の足は更に速度を上げた。

そんな彼に追い抜かれながら歌姫は声をかける。


「五条!!"帳"が下りきる前にアンタだけ先行け!!」

「いや無理」

「はぁ!?」

「(実質あの"帳"はもう完成してる。視覚効果より術式効果を優先してあるのか。上手いな…)ま、下りた所で破りゃいい話でしょ」


そう言いながら、目の前の"帳"に手を伸ばす五条。

だがその手は"帳"をすり抜けることなく、バチィっという大きな音を立てて弾かれてしまった。

火傷のようになっている自分の手を見つめながら、五条はふと感じた違和感の正体を探る。


「…?」

「ちょっと…なんでアンタがハジかれて、私が入れんのよ」

「…成程。歌姫、お爺ちゃん、先に行って。この"帳"…"五条悟"の侵入を拒む代わりに、その他"全ての者"が出入り可能な結界だ」

「!(確かにそれなら足し引きの辻褄は合う。でも特定の個人のみに作用する結界なんて余程…)」

「余程腕の立つ呪詛師がいる。しかもこちらの情報をある程度把握してるね。

 ほら行った行った。何が目的か知らないけど、1人でも死んだら僕らの負けだ」


京都校の2人を先に行かせると、五条は一旦近くの柵に腰を下ろした。

そして自分の手を治しながら、さっきのスズの言葉を思い返す。

"あ、でも先生はこの"帳"に近づかない方がいい気が…"


「(スズは、俺とこの"帳"の相性が悪いことを本能的に感じてあんなこと…成長したな〜)

 でもまだ甘い。スズが中にいんのに、そんな理由だけで俺が"帳"に近づかないわけねーじゃん」


元通りになった手をグーパーしながら笑みを漏らした五条は、小さくそう呟いてから行動を開始するのだった。



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