一方、"帳"の内部にいるスズはと言うと…

伏黒・狗巻・加茂と共に、特級呪霊・花御と一定距離を保ったまま対峙していた。

攻撃の手を止め、ただ静かにこちらを見ている呪霊に不気味さを感じつつ、4人は小声で言葉を交わす。


「何故高専に呪霊がいる。"帳"も誰のものだ?」

「多分その呪霊と組んでる呪詛師のです。」

「ゲホッ。」

「棘先輩、大丈夫ですか?少し治療しましょ。」

「しゃけ。」

「? 何か知っているのか?」

「以前、五条先生を襲った特級呪霊だと思います。風姿も報告と近い。そうだよな、スズ?」

「うん、間違いない。先生的には、もう片方の呪霊よりこっちの方が厄介だって言ってた。」

「ツナマヨ。」

「そうですね、五条先生に連絡しましょう。」

「あ、私がさっきかけた時は途中で切れちゃったんだけど…恵の携帯だと大丈夫そう?」

「…うん、今のところ普通に呼び出してる。」

「ちょっ…と待て。君達は彼が何を言っているのか分かるのか?」

「今そんなことどうでもいいでしょ。相手は"領域"を使うかもしれません。距離をとって五条先生の所まで後退…」


伏黒が言い終わらないうちに、一瞬にして4人の近くまで来た呪霊によって携帯は弾き飛ばされた。

そのあまりの速さにスズ達は一気に緊張モードに…!

狗巻の呪言で動きを止めると、4人は同時に走り出した。

加茂の赤血操術、伏黒の式神と呪具による攻撃、スズの呪符を使った除霊…

そのどれもがかすり傷一つ負わせられず、相手の強さを痛感させられる。

と、不意に呪霊が謎の言語を発した。

その言語は音では理解できないのに、何故か全員に意味が伝わっていた。


『やめなさい愚かな児等こらよ。』

「何だこれ…気持ち悪ィな…!!スズ平気か?」

「何とか…!でも酔いそう。」


人々が森を恐れる感情から生まれたこの特級呪霊は静かに喋り続ける。

森も海も空も人間達の行動に我慢がならない。

これ以上人間との共存は不可能。

彼らには人間のいない"時間"が必要だと…


『死して賢者となりなさい。』


そう言った花御は、無数の木々や枝を操りながらスズ達の方へ向かってくるのだった。



to be continued...



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