狗巻の呪言で動きを止め、伏黒・加茂の攻撃で距離を取り、その隙にスズが全員の疲労やケガを治療する。

合流してすぐとは思えない息の合った連携を見せる4人だが、それでも花御は動じずに向かって来ていた。

そしてついにスズ達は建物から飛び出し、外の屋根へと戦いの場所を移した。

追いかけるように外に出てきた花御と向かい合った伏黒は、自身の式神・鵺に声をかける。


「狗巻先輩が止めてくれる。ビビらずいけ。」

「…スズ、ヤバイかも。」

「! 恵、待って!!」


狗巻の傍で治療に当たっていたスズは、彼のその一言ですぐさま伏黒の名を呼んだ。

だが一歩遅く、伏黒は鵺を花御へと向かわせてしまう。

結果…

鵺は花御の枝に体を貫かれ、スズに支えられていた狗巻は口から血を吐いて膝をついた。

スズの治療が追いつかない程、狗巻の体はボロボロになっていたのだ。


「棘先輩…!しっかりして下さい!!」

「(先に限界がきたのは狗巻こっちか!!)」

「! 加茂先輩、後ろ!!」

「!」

「生きてますか!!加茂さん!!スズ、頼む…!」

「分かった!」


狗巻の方を振り返っていた加茂は、背後に迫る花御の攻撃をモロに喰らった。

伏黒がすぐさま加茂を退避させ声をかけるが、彼の意識は戻る気配がない。

そんな加茂をスズへ託し、式神召喚の構えに入る伏黒の肩に、突然ポンと手が置かれた。


「!!」

「高菜。」

「狗巻先輩!!それ以上は…!!」

「ダメです、棘先輩!!これ以上やったら死んじゃいます…!!」

「…スズが傍にいてくれれば大丈夫。だから俺のこと支えてて?」


自分の腕を掴んでいるスズの手をギュっと握ると、狗巻は耳元でそう囁く。

最後に"ね?"と言いながら笑みを見せ、彼は花御に相対する。

そして…


「"ぶっとべ"」


スズが呪力でガードしていても尚、言葉を発した瞬間に膝から崩れ落ちる狗巻。

呪言通りに吹っ飛んだものの、大きな傷は負っていない特級呪霊の姿に、狗巻を支えていたスズは恐怖を覚える。

が、一度頭をブンと振り切り替えると、自分に任されたことを遂行し始めた。

同級生のそんな姿を見て気合いを入れ直した伏黒は、駆けつけた真希と共に特級呪霊に挑む。


「スズ、大丈夫か!?」

「真希先輩!!」

『そのナマクラでは、私は斬れませんよ。』

「(目の樹は他と比べて脆い!!)」

『こちらの刀は悪くない。』

「もっといいのがあるぜ。これを使うのは胸糞悪ィけどな。」


そう言った真希が手に取ったのは、呪いを宿した三節棍の武具だった。



to be continued...



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