スズと別れた西宮が、加茂と狗巻を箒に乗せて運んでいる頃…
その下に広がる森の中では、東堂・虎杖ペアが花御と対峙していた。
第43話 黒閃
「いけるか!?虎杖!!」
「応!!」
「やめろ虎杖!!そいつは俺達でどうこう…ゲホッゲホッ…」
「こら!大きな声出さない!安静にしてて!」
スズに体を預けていた伏黒だが、虎杖の無謀とも言える行動につい声を荒げてしまう。
そんな彼を一喝したスズはと言えば…
地上に降り立ってすぐに真希の周りに領域を展開し、続けて伏黒のお腹に生えている謎の枝に取り掛かっていた。
またこのタイミングで、こちらに向かっていたパンダも合流する。
「(この枝何なの?恵から出る呪力が吸い込まれてるような気がするけど…)」
「パンダ。」
「あいよ。」
「!」「あ、パンダ先輩!ご無事で!」
「おう。スズも大丈夫そうだな。」
「木下の応急処置が終わったら、2人を連れて"帳"を出ろ。西宮曰く、この"帳"は対五条悟用で俺達は問題なく出入りできる。」
「そういう仕組みだったんですか、この"帳"…!」
「らしいぞ。」
「待て!!いくらアンタでも…「伏黒。」
「?」
「大丈夫。」
そう言ってこちらを振り返る虎杖の表情は、以前とは比べ物にならない程、力強く自信に満ち溢れたものだった。
ずっと一緒にいる同期だからこそ、その変化はハッキリと伏黒の目に焼き付いた。
「気づいたようだな。羽化を始めた者に、何人も触れることは許されない。虎杖は今そういう状態だ。」
「…次死んだら殺す!!」
「ふふっ。何、そのワケ分かんない言葉。」
「そんじゃ死ぬワケにはいかねーな。」
「スズ、もう連れてってもいいのか?」
「真希先輩は大丈夫です!恵の方はもうちょっと待ってください。…恵。」
「ん?」
名前を呼ばれそちらを向いた途端、伏黒はフワッと温かいものに包まれる。
それはスズの領域展開でも、もちろん自然に吹いている風でもない…
紛れもなくスズ自身の体温だった。
「お、おい…!スズ!?」
「恵、もうみんないるから大丈夫。だから…一旦呪力0にしよう。」
「! してたつもりだったけど…まだ出てるか?」
「うん、少しだけ。でもこの枝、その少しの呪力も吸って大きくなってる気がするから嫌だなと思って…」
「そっか…でもこれ以上抑えられねんだけど…」
「大丈夫、恵ならできる。目閉じて、ゆっくり呼吸して?」
伏黒をギュっと抱きしめながら、スズはその背中をポンポンと優しく叩く。
そうして呪力が限りなく0になったところで、スズはお腹の枝に力を加え破壊した。
それと同時にガクッと意識を失った伏黒を支える。
「おっと…!パンダ先輩、OKです。お願いします!」
「了解!パンダーッシュ!!」
「よし。じゃあ東堂先輩、私も「待て。」
応急処置が終わったらパンダと一緒に"帳"を出る。
作戦ではそう決めていたはずだ。
ここで呼び止められた理由が分からずポカンとするスズに、東堂はゆっくりと話し始めた。
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