作戦とは違い、何故かこの場に留まることになったスズ。
その真意が分からない彼女に、東堂はゆっくりと話し始める。
「木下、オマエも少しここに残れ。」
「え、何でですか?」
「オマエが傍にいると、虎杖の呪力が安定している。」
「そう…ですか?」
「あぁ。上手くいけば虎杖の黒閃が見れるかもしれんぞ?」
「え、悠仁出せるんですか!?」
「いや、まだだ。だがその瞬間は近いと、俺は思っている。」
「すごい…!」
東堂の思わぬ発言に、スズは驚きとそれを超える嬉しさで虎杖を見つめる。
ついこの前まで呪いも見えない一般人だった彼の急成長は、スズにとってとても喜ばしいことだった。
期待と少しの不安を抱えながら、スズは東堂の隣で同期の戦いに視線を向ける。
「俺は手を出さんぞ。虎杖、オマエが"黒閃"をキメるまでな!!"黒閃"をキメられずオマエがどんな目に遭おうと、俺はオマエを見殺しにする!!」
「(スパルタ…!でもこれは口を出しちゃいけないやつだ…)」
「押忍!!…スズ、見ててな。」
「うん…!」
『さて…どう来る?』
「オマエ、話せるのか…1つ聞きたいことがある。オマエの仲間に、ツギハギ面の人型呪霊はいるか?」
『…いる、と言ったら?』
花御のその返事を聞くや否や、虎杖はもの凄いスピードで間合いを詰め攻撃を加えていく。
そしてガラ空きになった胴体に黒閃を打ち込もうとしたのだが…
「今の感じじゃダメですね…」
「あぁ。ちょっと行ってくる。」
スズとの会話を終えると、東堂は虎杖の元へ向かい強烈な平手打ちを喰らわせた。
そして先輩として術師にとって必要な知識を伝える。
"怒り"は術師にとって重要な起爆剤であること。
だが同時に、"怒り"で呪力を乱し実力が発揮できないこともあることを…
「伏黒を傷つけられ…そして何より親友である俺との蜜月に水を差され…」
「(今度は親友になってる…)」
「オマエが怒髪衝天に陥ってしまうのは、よぉーく理解できる。だがその怒り、オマエには余る。今は収めろ。」
「(さすが東堂先輩。悠仁との関係性は謎だけど、言ってることはまともだわ。)」
「消えたか?雑念は。」
「ああ、雲一つねぇ。(Thank you so much 東堂!!)」
「(あれ?何か今、悠仁も同じノリになったような…)…ん?悠仁?」
「…っし。」
2人のやり取りを見守っていたスズは、不意に自分に視線を向けている虎杖と目が合う。
声をかければ、彼は少し笑みを見せてから再び花御に向き合った。
そこからの虎杖の集中力は凄まじいものだった。
涎が出ているのにも気づかない程に研ぎ澄まされた状態で両手を構えると、次の瞬間…
彼が繰り出した右の拳は黒く光っていた。
「うわっ…!!」
「成ったな。」
to be continued...
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