重症度の高い加茂を家入が専属で診ている一方で、スズは東京校の3人を診ることになった。
時折ビリビリと震える辺りの空気を感じながら、3人の中で一番重症な伏黒の治療を行うスズ。
自分自身の呪力が確実に減っていっていることには気づかないフリをしながら…
「(空気が震えてる…悠仁また"黒閃"出したのかな…!これは先生に報告だな!)」
「……スズ?」
「! 恵…!良かった〜意識戻って。でも今治療中だから動かないでね。」
「分かった。スズ、俺…」
「大丈夫、もう例の枝は取れてるから。内臓の方は今診てるけど、今のところ異常はないよ。」
「…そっか……オマエは?」
「ん?私?」
「うん…スズは、呪力…平気か?」
言いながら自分の方に手を伸ばしてくる伏黒を、スズは慌てて止める。
今スズの呪力量を見たら、仲間想いの同期は絶対に治療をやめるように言うだろう。
それは彼女にとって絶対に避けたいことだった。
「大丈夫!私もさっき少し休んだから!」
「…本当か?少し…顔色悪いんじゃねーか?」
「私のことは気にしなくていいの!今は自分のことだけ考えて。ねっ?」
「あぁ…ありがとな。」
苦しそうに話す伏黒に、スズはそう言って穏やかな笑みを向ける。
その表情に安心したのか、伏黒はまた目を閉じ眠りに落ちていった。
だいぶ安定してきた呼吸音を聞きながら、スズは自分の手を見つめる。
「(もう少し…もう少しだけ頑張って、私の呪力…!)」
「スズ、ごめん!ちょっとこっち手伝ってもらえる?」
「あ、はい!今行きます!」
それからしばらく、スズと家入はひたすら治療に当たった。
治療とは別に全体への領域展開も行っているスズの呪力量は、見る者が見れば一発でヤバイと判断するレベルになっていた。
だが幸か不幸か誰もが戦いや救助、治療に忙しくそのことに気づかない。
と、その時…!
少しフラフラする感覚になりながら治療を続けるスズの耳に、バシュッという音が聞こえてくる。
反射的に空を見上げれば、さっきまで重くのしかかっていた"帳"が跡形もなく消え去っていて…
その中心には、皆が待ち望んだ人物が立っていた。
to be continued...
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