現場に到着すると、五条とスズは即座にそれぞれの行動を開始する。
五条は伊地知と共に商店街へ入り現場検証を、スズは2人の先輩の元へ駆けつけ治療を始める。
「棘先輩!憂太先輩!」
「あ、スズちゃん!どうして?」
「伊地知さんに、先輩達がケガしたから来てくれって言われて…!大丈夫ですか?」
「うん、僕は全然。狗巻君の方が…」「高菜。」
「2人共同じぐらいボロボロじゃないですか!一緒に治療しますから、体楽にしててください。」
そう言うと、スズは九字を唱え領域を展開した。
入った瞬間から自分達のケガや痛みが引いていくのを感じ、狗巻と乙骨は驚きを隠せない。
だがその癒しの力を受け、2人の顔に徐々に穏やかな笑みが浮かぶ。
「すごいね、スズちゃん!前に治してもらった時は意識なかったから、こんな感じだって知らなかった。」
「ありがとうございます!お役に立てて良かったです。棘先輩も平気ですか?」
「うん、ありがと。」
乙骨に影響が出ないよう、スズの耳元で小さくそう言った狗巻はニコッと笑った。
幸い2人のケガはそこまで酷いものではなく、スズによる治療は早々に完了した。
それからしばらく五条による現場検証が終わるのを待ち、伊地知と五条がそれぞれ運転する車で生徒3人は高専へと戻るのだった。
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その日の夜…
建物内の廊下で会話をする五条と伊地知がいた。
五条の隣には、遠慮したにも関わらず彼によって強制的に連れてこられたスズの姿もある。
話の内容は、今日の事件に関する報告だった。
「申し訳ございません。何者かが、私の"帳"の上から二重に"帳"を下ろしていました。」
「えっ、そんなことが…!」
「はい。加えて予定にない準1級レベルの呪いの発生…全ては私の不徳の致すところ。なんなりと処分を「いやいい。相手が悪過ぎた。」
「と申しますと…犯人に心当たりが?」
「…」
「先生…?」
「夏油傑。4人の特級が1人…百を超える一般人を呪殺し、呪術高専を追放された。最悪の呪詛師だよ。」
今聞こえた名前が五条のかつての同級生だと知っているスズは、驚きのあまり声が出ない。
不安そうな顔で見上げてくる弟子を安心させるように少し笑みを向けた五条は、彼女の頭に優しくポンと手を置いた。
そして学長への報告は自分がすると伊地知に告げ、五条はスズを連れて家路についたのだった。
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「…先生。」
「ん?」
「大丈夫…?」
「! …大丈夫だよ、ありがと。」
五条家への帰り道。
少し後ろから声をかけたスズに対し、五条はゆっくり振り返ると穏やかな口調でそう言った。
同級生が自分の教え子に手を出してきたことがショックだろうと思い、五条を気遣うスズ。
自分以上にツラそうな表情をしている彼女に、五条は心が解かれるのを感じた。
「…オマエに俺の昔話しといて良かった。」
「!」
「またスズにいっぱい寄りかかっちゃうかもしれないけど…いい?」
「もちろん!ドンと来いです!!」
五条と比べれば遥かに小さな体なのに、その言葉には絶対的な説得力があった。
彼女の明るい笑顔に今一度元気をもらい、五条の足取りは心なしか軽くなったようだった。
そんな彼女を巻き込んだ大きな事件が、すぐそこまで迫っていた…
to be continued...
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