とある大きな寺院のような場所。

その建物内にキレイな黒髪をハーフアップにした長身の男と、体のラインが出るピタっとしたワンピースを身にまとったグラマラスな女の姿がある。

目の前にある人間の死体に微塵も動揺を見せず、ごくごく自然な感じで2人は会話を続けた。


「穢らわしい。本当に同じ人間ですか」

「だから言っているだろう、非術師かれらは猿だ。それより例の彼女の件、何か分かった?」

「もちろんです。今、報告しても?」

「うん、頼むよ」

「名前は木下スズ。両親は地元ではそこそこ名の知れた陰陽師で、彼女自身もその力を十二分に受け継いでいます。

 小学生の頃に五条悟と出会い、それ以来彼を師として呪術全般を学んでいるようです。

 夏油様がお気に召している彼女の呪力は生来のものであり、それに加えて現在は師匠由来の負の呪力も持ち合わせているとか」

「いいね〜ますます気に入ったよ」


そう言って笑顔を見せた夏油は、廊下の突き当たりにある部屋の扉を開け放つ。

室内には彼の仲間と思しき老若男女が集合していた。


「時が来たよ、家族達。猿の時代に幕を下ろし、呪術師の楽園を築こう。まずは手始めに…呪術界の要、呪術高専を落とす」





第3話 弱者に罰を





季節は廻り、呪術高専は冬を迎えていた。

二重"帳"の事件以来、皆が皆修行に打ち込み、また1つレベルを上げた高専の若き精鋭達。

今日も今日とて呪術実習だった真希達は、白い息を吐きながら高専へと戻って来た。


「どーした、憂太」

「えーっと、なんかちょっと嫌な感じが…」

「気のせいだ」「気のせいだな」「おかか」

「えぇ、ちょっと皆ぁ…」

「スズが言ってるならまだしも、憂太の呪力探知超ザルじゃん」

「まぁ里香みたいのが常に横にいりゃ、鈍くもなるわな」

「ツナ」

「あ、先輩達おかえりなさーい!!」


チラチラと後ろを気にする乙骨を完全にスルーしながら歩いていた真希達は、出迎えのためこちらに走って来るスズを笑顔で迎えた。

冬とは思えないような薄着でいる彼女もまた、体術の自主練を終えたところだった。

今日の呪術実習についていろいろ聞いてくる後輩と自分の活躍を自慢する先輩達。

そんなワチャワチャと楽しそうな5人を、校舎の2階から見つめる人物がいた。


「…未だ夏油の動向はつかめん。やはりオマエの杞憂じゃないのか?」

「学長、残念ながらそれはあり得ないです。直接現場を確認しました。僕が傑の呪力の残穢を間違えるわけないでしょ」

「…スズは何と言ってる」

「スズは傑と会ったことないから、呪力までは分からないですよ」

「…ガッデム!!噂をすればだ!!校内の準1級以上の術師を正面ロータリーに集めろ!!」


五条へ指示を出し、慌ただしく廊下を走って行く夜蛾。

校舎の外に、不穏な呪力が突如現れたのだった…



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