目の前に倒れている、意識を失った仲間達。
里香に4人を抱えさせ、自身は夏油の攻撃をかわしながら、乙骨は一旦彼と距離を取った。
そして屋根のある建物の中に入ると、4人の様子を観察する。
同級生である3人は、ギリギリまでスズが治療をしていたお陰でかなり回復していた。
その一方でスズは、夏油の攻撃によるケガに加えて、呪力も大幅に減少しているという危険な状態だった。
乙骨は反転術式をスズに使うと、彼女の回復を待った。
第4話 眩しい闇
数分後、3割程呪力が回復したスズが不意に目を覚ます。
乙骨が静かに声をかければ、ビックリしたように体を起こした。
「スズちゃん、大丈夫…?」
「……憂太先輩!?おっと…!」
「あ、そんなに勢いよく動いちゃダメだよ!まだ全然回復できてないんだから。」
「すみません…夏油さんは?」
「下にいる。僕がここにいる間、何でか攻撃をしてこないんだ。」
「何か企んでるんでしょうか…」
「分からない。でも大丈夫、僕が行ってくるから。スズちゃんは真希さん達のことお願い。」
「分かりました…!気をつけて!」
スズの言葉に強い眼差しで頷くと、乙骨は里香と共に下へと降りて行った。
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残されたスズは、先輩3人の治療を続けた。
少しずつケガが治り、呼吸が穏やかになっていく先輩達にスズは笑みを見せる。
だがそうしている間にも、乙骨と夏油の戦いは激しさを増していた。
未だ本調子ではないスズにとって、特級同士の戦いで発生する呪力は体に響く。
フラフラしながらも2人の様子を見に行こうと、スズは真希達の周りに領域を展開してから下へと降りて行った。
呪力を探ってたどり着いたその場所で、2人の戦いはクライマックスを迎えようとしていた。
夏油が特級仮想怨霊と呪霊操術・極の番を出せば、乙骨側は自身を生贄にした里香の制限解除で迎え撃つ。
ただ出てきただけ、解除しただけで、辺りには異常な程の呪力が流れる。
そのあまりの強さに耐えきれず、スズは意識を手放してしまった。
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