それからしばらく車で走って辿り着いた、共通の知人である"森下"と言う名の人物の家。

だがそこでは当の本人の葬式の真っ只中だった。

新田が話を聞いてきたところ、他の3人と同じような死に方をしていたらしい。

両親も自分の息子が3人とどういう関係かは知らないようで、唯一の手掛かりがなくなってしまった。

落ち込む新田を皆で励ましつつ、一行は続いて4人が通っていた中学校へと向かう。


------
----
--


さいたま市立 浦見東中学校

その学校名を見た途端、スズはバッと伏黒の顔を見る。

茶化すような視線に気づいた彼はスズの方に顔を向け、バツが悪そうに"しっ"と口に指を当てた。

そんな2人の様子を知らず、虎杖・釘崎コンビは校舎付近にたむろする2人の悪そうな中学生に狙いを定める。

こちらを威嚇するような表情を見せていた彼らだったが、とある人物の存在に気づいた瞬間、態度が一変する…


「「! おっ、お疲れ様です!!」」

「フッ、何よ"理解わか"ってるじゃない…」

「オーラってやつは、隠しても滲み出るもんだからな。」

「卒業ぶりですね、伏黒さん!!」

「「!」」

「俺、中学、ココ。」

「それも驚きだけど、そうじゃねぇだろ!こっち見ろ!」

「何した!オマエ中学で何した!」

「あははっ!」

「いや、アイツらに聞いた方が早いな。」

「おいバカA、バカB。伏黒コイツに何された。」

「俺ら…っていうかこの辺の不良、半グレその他諸々…伏黒さんにボコられてますから。」

「「!」」

「…ボコッ…た。」

「なんでさっきからカタコトなんだよ!こっち見ろって!」

「何してんの?オマエ何してんの?」


不良少年が話す伏黒の意外な過去話に、虎杖と釘崎は驚き過ぎて情緒が安定しない。

かつての伏黒を知っているスズは、大騒ぎする同期達の様子を楽しそうに眺めていた。

と、そんな彼女に気づいた不良少年A・Bがまたまた爆弾を投下する。


「あ、そちらの彼女さんともまだ続いてたんすね!」

「「!」」

「はぁ〜…だからスズは「アンタ達、そういう関係だったの!?」

「いや、野薔薇そうじゃ「えっ!伏黒とスズって付き合ってんのか?」

「付き合ってねーよ。アイツらが勘違いしてるだけだ。そもそもスズはこの中学出身じゃない。」

「あ、そうなの?」

「うん、私中学は行ってないから。悟先生と一緒に恵に会いに来てたの。」

「とか何とか言って、実際付き合ってたんでしょ〜?」

「…野薔薇、面白がってるでしょ。」


青春ど真ん中のような話題でしばらく同期4人がワイワイと話していると、こちらに1人の人物が向かって来る。

白髪に眼鏡、作業着姿のその男性は、ここで働く校務員だった。

長く働いている彼もまた、伏黒のことをよーく覚えていた。


「! 伏黒君か。」

「…ども。」

「「覚えられてる〜!」」

「ふふっ。」

「おや、君は…よく彼に会いに来てた子かな?」

「はい。お久しぶりです!」

「本当に久しぶりだ。同じ高校に行ったんだね。」

「そうなんです。…相変わらず手のかかる子ですよ。」

「ははっ。君達は昔も今も仲が良くていいね。」


またも思い出話に花が咲いた面々だが、そろそろ本題に戻らなくてはいけない。

伏黒が被害者達について問いかければ、校務員の武田は意外な程ハッキリと彼らのことを覚えていた。

黒い噂に心当たりはないが、バチ当たりな話についてはピンと来るものがあるようで…

自殺の名所として有名な心霊スポット・八十八橋でのバンジーが話題に上がった。


「ある日4人が無断欠席をしてね。そう珍しいことではなかったんだが、家に連絡してみると前日から帰ってないと言うじゃないか。

 結構な騒ぎになったが、すぐに橋の下で倒れているのが見つかってね。大説教になったが、本人達は何も覚えていないの一点張りだったよ。」



- 157 -

*前次#


ページ:

第0章 目次へ

第1章 目次へ

第2章 目次へ

第3章 目次へ

第4章 目次へ

第5章 目次へ

第6章 目次へ

章選択画面へ

home