結界内に残った2人は、そのままモグラ叩きを続けた。

だがさっきのスズの発言が気になった伏黒は、戦いが一旦落ち着いたタイミングで声をかける。


「スズ。」

「ん?」

「さっき言いかけてたことだけど…体がどうかしたのか?」

「あ、忘れてた!何かさっきから体が引き寄せられる感じがするの。」

「! それってどの程度だ…?」

「感覚的には…宿儺、かな。」

「嘘だろ…にしちゃ弱すぎねぇか?」

「そうなんだよね。だからよく分かんなくて…」

「…分かった。呪霊退治は俺が引き受けるから、スズは周り調べてくれるか?」

「うん!」


会話を終えると、2人はそれぞれ行動を開始する。

玉犬と共に呪霊を倒し続ける伏黒と、その周辺を歩きながら呪力を探るスズ。

チラチラと彼女の様子を見ながら、伏黒は最後の呪霊を無事に倒し切った。

動きを止め、フーっと息を吐いて呼吸を整えていた伏黒の背中に、上を見ながら歩いていたスズがポフッとぶつかった。


「おっと…!ゴメン、恵!あ、倒し終わったの?」

「おぅ。これで津美紀の方は大丈夫だと思う。」

「…」

「どうした?」


伏黒からの問いかけに、浮かない表情のスズが答えようとした瞬間…

ちょうど2人がいる辺りの頭上からズリュという嫌な音と共に1つの物体が落ちてきた。

思い出されるのは、車内で交わした自分達の会話だ。


"スズ、どうした?"

"いや、最初の事件っていつだったっけと思って…"

"最初は…6月だな。"

"6月か……何で6月に急に起こったんだろう。"

"確かにそうだな…"


何故今まで起こらなかったことが、6月に突然発生したのか。

6月といえば、スズと伏黒が虎杖に出会った頃だ。

彼が両面宿儺の指を取り込み、呪術高専に入学することが決まり、そして…

1年4人で取り組む初めての案件で、今目の前にいるのとよく似た呪霊と戦ったのが6月だった。


スズと伏黒は再び、宿儺の指を取り込んだ呪霊と相対することになる。



to be continued...



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