不意に体を起こした伏黒だったが、まだ完全回復には至っていないため少しフラついてしまう。
それを支えようと自分の方へ近づいてきたスズを、伏黒は再び強く抱きしめた。
「恵…?」
「…本当はもっと別のタイミングで言おうと思ってたけど…もう抑えらんねぇし、これ以上出遅れたくないから言うな?」
「ん?」
「オマエが好きだ。」
「!」
「分かってると思うけど…同期としてとか兄弟弟子としてとか、そういうんじゃねェから。…女として、スズが好きだ。」
真剣な眼差しと共に向けられた言葉に、スズは予想外過ぎて何も言えなくなる。
徐々に赤くなる彼女の顔を見て、伏黒は微笑みながらその頬に触れた。
「スズって昔からすぐ顔に出るよな。」
「えっ、そ、そう…かな。」
「そうだよ。…オマエさ、五条先生に告白されただろ。」
「! 私、恵に言ったっけ…?」
「言わなくても、あの人の表情とか最近の行動見てれば嫌でも分かる。」
「そ、そっか…」
「返事は?もう…したのか?」
「ううん、まだ。先生のことは好きだけど、それが先生と同じ"好き"か分かんなくて…」
「じゃあ俺にもまだ可能性はある…ってことだよな?」
「え、あ、あの…!」
「ふっ。動揺し過ぎ。俺…五条先生が相手でも負ける気ねぇから。」
スズの目を真っ直ぐ見つめて頭にポンと手を置くと、伏黒はまた彼女の膝に頭を乗せて目を閉じる。
さっきまでとは全く違う感情でその顔を見つめていたスズは恥ずかしそうに、自分の膝で眠る彼に声をかけた。
「恵、1つ聞いていい?」
「いいよ。」
「いつから私のこと…その、そういう風に想って、くれてたの…?」
「んー…いつからかは分かんねぇ。でもハッキリ自覚したのは…交流会の後、かな。オマエと部屋で2人になった時があっただろ?」
「うん。」
「あの時には…もう好きだった。」
「! そ、そっか…!」
「ふっ…自分で聞いといて赤くなんのかよ。変な奴。」
「しょ、しょうがないでしょ!」
「…まぁ、そういう変なとこも好きだけど。」
「ふふっ。恵の方がよっぽど物好きじゃん。」
「そうかもな。」
そう言って笑うと、伏黒はまたスズの腰に抱きつき、深い眠りに落ちて行った。
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場所は変わり、薄暗い部屋の中…
そこでテーブルを囲み、人生ゲームをしている3人の男達がいた。
「夏油、株券。」
「どうした?脹相。」
「…弟が死んだ。」
「あーっ!!コマ壊すなよ!!」
「そういうの分かるんだ。」
「どういうことだ?受肉体ならまだしも、2人が指1本分の呪霊にやられるとは思えん。」
「もーまだあったかなー」
「待ってね。……フフッ、報告が入ったよ。壊相・血塗を殺したのは…呪術高専1年、虎杖悠仁とその一派だ。」
夏油からの報告に、真人は楽しそうに笑った。
両者が再び相対する日は、そう遠くはないかもしれない…
to be continued...
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