五条の様子が落ち着いたタイミングを見計らって、スズは先程の冥冥への入金について尋ねた。

あれだけの金額を報酬として支払う仕事とは何なのか、彼女でなくても気になるところだろう。

スズからの問いかけに、五条は何の抵抗もなく答えを返した。


「冥さんと葵に、悠仁達を1級術師にするための推薦人になってもらったの。」

「えっ!すごい…!恵と野薔薇もってことですよね?」

「うん。あとパンダと真希も。」

「皆、交流会でも大活躍でしたしね!絶対合格ですよ!」

「…スズのことも推薦したいんだけどね。」

「私はいいんです!皆と一緒に高専にいれるだけで十分ですから。」

「あのじじいがいなくなればな〜」

「交流会の時は、まだまだお元気そうでしたけど。」

「はぁ〜…まぁでもオマエに何かあったら必ず俺が動くから、ある意味スズは特級だな。」

「やった!5人目だ!」

「ふっ。紅茶入れ直すね。」


そう言ってスズの頭をポンと叩くと、五条は台所へと向かった。

数分後…

紅茶のいい匂いと共に戻って来た師匠に、弟子はお礼を言いながら静かなトーンで話し始めた。


「ありがとうございます!……先生。」

「ん?どうした?」

「…今回の事件が起きたのは、悠仁が宿儺の指を取り込んだのがキッカケですか?」

「!」

「宿儺が受肉したから…指の力が目覚めて、呪霊が動き出したってことでしょうか。」

「…そうじゃないって言ってあげたいけど、それでほぼ間違いないと思う。」

「そう、ですか…恵は気づいてるから、たぶん野薔薇には話してると思うんです。でもこの2人は絶対に悠仁には言わない。」

「うん。」

「新田さんもきっと黙っててくれる。だけど…悠仁は絶対にこの事実を知ってしまうと思います。」

「…宿儺か。」

「はい。彼が悠仁を気遣うなんてことはあり得ない。…私、悠仁が心配です。心が壊れちゃうんじゃないかって…」

「スズが傍にいるだけで、悠仁の精神状態はかなり守られると思うよ。」

「そんなことでいいのかな…?」

「そんなことがいいんだよ。それで悠仁から何か相談されたら、その時にしっかり受け止めてあげて?」

「はい…!」


五条からの教師らしいアドバイスに、スズにまた笑顔が戻って来た。

こうして、1年生4人の安静期間は終わりを迎えるのだった。



to be continued...



- 174 -

*前次#


ページ:

第0章 目次へ

第1章 目次へ

第2章 目次へ

第3章 目次へ

第4章 目次へ

第5章 目次へ

第6章 目次へ

章選択画面へ

home