おのぼりペアが廃ビルに入って10分程経っただろうか。
五条と伏黒が雑談をしている間も呪力変換に取り組んでいたスズの集中力がついに切れた。
「……だぁー!!疲れた!!」
「お疲れ様。よく頑張ってたね。」
「はい…でももう集中力が切れました。」
「これだけ周りがうるさかったら、そりゃ消耗するわな。」
「…じゃあそんな中で頑張ったご褒美に、僕に寄っかかって座る権利をあげる。」
「えっ!いいんですか?」
「いいよ。ずっと体育座りじゃキツイでしょ?」
珍しく優しい口調でそう言いながら、五条はスズの体を軽く引いて自分に寄りかからせた。
背中に人の体温を感じた安心感からか、グイーっと足を伸ばしてリラックスする教え子の姿に、兄のような笑顔を見せる五条。
今まで見たことのない表情を見せる担任に驚く伏黒は、自分の中にあるモヤモヤした何かを感じながら話題を切り替えるのだった。
「…そういえば、さっき試されてるのは釘崎だって言ってましたけど、あれって?」
「あーあれね……悠仁はさ、イカれてんだよね。」
「悠仁が…?」
「うん。異形とはいえ生き物の形をした呪いを、自分を殺そうとしてくる呪いを一切の躊躇なく殺りに行く。
君達みたいに昔から呪いに触れてきたわけじゃない。普通の高校生活を送っていた男の子がだ。
才能があっても、この嫌悪と恐怖に打ち勝てず挫折した呪術師を、2人も見たことあるでしょ。」
「「…」」
「今日は彼女のイカレっぷりを確かめたいのさ。」
「でも釘崎は経験者ですよね。今更なんじゃないですか?」
「確かに…ビルに入ってく時も、全然怖がってなかったし。」
「呪いは人の心から生まれる。人口に比例して、呪いも多く強くなるでしょ。地方と東京じゃ呪いのレベルが違う。」
試されている釘崎は、五条が求めているイカレっぷりを発揮できるのか…
3人が見守る中、虎杖と釘崎の戦いは続く。
to be continued...
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