夜蛾から言い渡された、天元様に関する特別任務。

難しい任務にも関わらず、任された五条と夏油は緊張感の欠片もない。

一方でリンはと言えば、2人の身を案じていろいろと不安になり、一番緊張感のある表情になっていた。





第57話 懐玉 ー弐ー





少女ガキんちょの護衛と抹消ォ??」

「そうだ。」

「ついにボケたか。」

「春だしね。次期学長ってんで、浮かれてるのさ。」

「ちょっと2人とも…!」

「冗談はさておき。」

「冗談で済ますかは、俺が決めるからな。」

「天元様の術式の初期化ですか?」

「? 何ソレ。」

「「「…」」」

「リンまで、なんだよ。」

「悟、本気で言ってる?」

「おう。」


御三家の当主ならば知っていて当然という空気の中、何が何だか分かっていない五条に対し夜蛾は説明を始めた。

天元様の術式は"不死"であるが、"不老"ではない。

一定以上の老化を終えると"進化"し、人ではなくより高次の存在と成る。

言葉だけを捉えれば悪いことではないように思われるが、その状態の天元様は"意志"がなくなってしまうのだ。

呪術界におけるあらゆる結界や術式は、天元様によって強度を底上げされているため、天元様に意志がなくなると…


「最悪の場合、天元様が人類の敵となる可能性もある。だから500年に一度"星漿体"…天元様と適合する人間と同化し、肉体の情報を書き換える。」

「肉体が一新されれば、術式効果もふり出しに戻る。"進化"は起こらない。」

「成程。メタルグレイモンになる分にはいいけど、スカルグレイモンになると困る。だからコロモンからやり直すって話ね。」

「えぇ…まぁいいや、それで。」

「悟にしては上出来だね。よく理解できました。」

「ったりめーだろ。」


3人のやり取りが終わるのを待ち、夜蛾は更に続ける。

今回この星漿体である少女の情報が外部に漏れ、その命が危険に晒されているのだと。

彼女の命を狙っている組織は2つ…呪詛師集団「Q」と盤星教「時の器の会」。

天元様と星漿体の同化は2日後の満月…

それまでに二大勢力から少女を守り、天元様の下まで送り届けることが、今回の任務の全容だった。



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