部屋に集まった3人は、休憩をしながらこれからの動きを話し合う。
そして未だ目を覚まさない星漿体の少女を五条が抱えて部屋を出るのだった。
「ケガはリンが治してんだよな?」
「うん!ただ内臓の方とか骨折とか、そういうのは分からないから…少し心配ではある。」
「んー…特に痛そうにもしてねーし、大丈夫だとは思うけど…一応医者診せる?」
「硝子がいればねぇ。」
「今から連絡してみよっか。」
3人がそんな会話をしていると、五条に横抱きにされていた星漿体・天内理子がパチっと目を開ける。
それにいち早く気づいたリンが声をかけようと口を開きかけた瞬間、五条の頬に見事な平手打ちが決まった。
あまりの激しさにリンと夏油は顔を見合わせて笑いを堪える。
「下衆め!!妾を殺したくば、まずは貴様から死んでみせよ!!」
「理子ちゃん、落ち着いて。私達は君を襲った連中とは違うよ。」
「嘘じゃ!!嘘つきの顔じゃ!!前髪も変じゃ!!」
「ふふっ。元気そうで良かった!」
「はっ!そこの女子も危ないぞ!こちらへ来るのじゃ!!…って、ぃいやー!!不敬ぞー!!」
五条・夏油コンビに続けざまにケンカを売った形になり、天内は2人によって手足を引っ張られることに…
と、同期の行動を止めようとするリンの声に混ざって、もう1つ女性の声が聞こえてくる。
「おっ、おやめ下さい!!」
「黒井!!」
「お嬢様、その方達は味方です。」
箱型の動く呪霊の背中に乗りながらそう言ったのは、星漿体世話係の黒井美里だった。
彼女もまだ本調子ではないため、夏油の術式で出した呪霊の力を借りているのだ。
さて、もう一度天内の方へ視線を向けると、そこには思っていたよりもずっと明るく元気な女子中学生の姿がある。
天元様と同化するという重めな役割を担っているとは思えない程に…!
「どこか痛いとか気持ち悪いとかはない?」
「うむ!全く問題ない!お主がケガを治してくれたのか。礼を言う!」
「どういたしまして。」
「にしても、思ってたよりアグレッシブなガキんちょだな。同化でおセンチになってんだろうから、どう気を遣うか考えてたのに。」
「フンッ!!いかにも下賤な者の考えじゃ。」
「あ"?」
「悟、落ち着いて。」
「いいか。天元様は妾で、妾は天元様なのだ!!」
そうして話し始めた天内は、年齢の割にはしっかりとした考えを持っていた。
"同化"と"死"は違うものであり、同化した後も自分の意志や魂は残り続けると。
だが彼女の熱弁に耳を傾けているのはリンだけで、他の2人は全く聞いていない。
「…ちょっと!悟も傑君も聞いてあげて!」
「聞けぇ!!」
「ほら〜!」
「あの喋り方だと、友達もいないじゃろ。」
「快く送り出せるのじゃ。」
「学校じゃ普通に喋ってるもん!!」
そこまで喋ったところで、天内は自分の言葉で"あること"に気がついたようだった。
リン達3人がポカンとしている間に、黒井が止めるのも構わず天内は学校へと走り出した。
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