監視に出していた夏油の呪霊が2体祓われた。

それはつまり、その呪霊を祓えるだけの力を持った人間が校内に入って来たということ…

4人の表情は一気に真剣モードになった。





第59話 懐玉 ー肆・伍ー





「天内は!?」

「この時間は音楽なので、音楽室か礼拝堂ですね!」

「レーハイドゥ!?」

「音楽教師の都合で変わるんです!」

「その2ヵ所、位置的にはかなり離れてる…!」

「なるほど…じゃあ悟は礼拝堂、黒井さんは音楽室。私は正体不明アンノウン2人を。」

「承知致しました!」

「リンは「大丈夫!安全そうな場所に隠れてるから、皆は気にせず行って!」


天内を探すべく、校内を走る4人。

夏油の言葉を遮るように声を発したリンは、そう言って3人から離れようとする。

が、その彼女の腕を五条がガシッと掴んだ。


「どこ行くんだよ!」

「今言ったじゃん!安全そうなとこに「だったらここだろ?」

「へ?」

「俺の隣以上に安全な場所なんかねーから。」

「! いや、確かにそう、かもしれないけど…何かあった時邪魔になるから…!」

「はぁ〜…俺はガキの頃からオマエの傍にいんだよ。リンを守りながら行動すんのなんか余裕だっつーの!いいから一緒に来い!!」

「…うん!ありがと。」

「おう。にしてもアイツ…だから目の届く範囲で護衛させろっつったのに、あのガキ!!」

「悟と傑君が一緒にいたら、それだけでかなり目立つから…嫌がるのも無理ないよ。」

「申し訳ありません。移動の度にメールするよう言ったのですが…」

「じゃあ、私はここで。そっちは頼んだよ、悟。」

「わーってるよ。」

「傑君、気をつけてね…!」

「うん、ありがとう。リンもね。」


ここで正体不明の敵の相手をするため夏油が離脱する。

単独行動になる彼の身を心配したリンが声をかければ、夏油はとても穏やかな笑顔を見せながら彼女の頭を撫でた。

五条に手を引かれて走り去るリンの後ろ姿を名残惜しそうに見つめていた夏油は、向きを変えると表情を一変させて足を速めたのだった。



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