1時間後…

夏油が幼馴染コンビの呪力を辿って休憩場に来てみると、そこにはどこからどう見てもカップルにしか見えない2人がいた。

"彼女を後ろから抱きしめている彼氏"としか言いようがないその光景の中で、異質なのは彼女の方がスマホでゲームをしていることだろう。

それだけでロマンティックな雰囲気は半減である。

その事実に夏油は人知れず安堵の息をつくのだった。


「あ、傑君!」

「お疲れ様。悟の方はどう?」

「お陰様でグッスリ寝てる。ありがとね。2人は?」

「大丈夫、無事だよ。暗くなってきたし、そろそろホテル戻ろう。」

「そうだね。ほら悟!起きて!」

「ん〜…まだ眠ぃ…」

「お腹空いたんじゃない?ご飯食べに行こっ!ね?」

「…確かに腹減った。」


そう言うと五条は1つ大きな伸びをして、1時間前よりもスッキリした表情で立ちあがった。


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護衛3日目(同化当日) 都立呪術高専 筵山麓

沖縄から帰って来た一行は、ようやく高専の結界内に到着した。

途中で仮眠を取ったものの、やはり連日の徹夜が堪えたのか、五条は不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。

そしてリンもまた、何故か同じような表情をしていた…


「皆、お疲れ様。高専の結界内だ。」

「これで一安心じゃな!!」

「…ですね。」

「…」

「悟、本当にお疲れ。」

「二度とごめんだ、ガキのお守りは。…あと任せていいか。リンと抜ける。」

「もちろん。…リン、さっきから黙ってるけどどうかした?」

「あ、いや…何か変な感じがして…落ち着かないの。」

「オマエも疲れてんだよ。早く行くぞ。」


リンの腕を引っ張って歩き出す五条。

その途中、彼はずっと発動し続けていた術式を解こうとする。


「! 待って、悟!!まだ解かないで…!」

「ん?」

トスッ

「悟!!」


リンの忠告が間に合わず、五条が術式を解いた瞬間…

彼の腹から1振りの刀が突き出ていた。

音も気配も一切感じられなかった相手の動きに、全員が一気に青ざめる。

何故ならここは、高専の結界内なのだから。


「アンタ、どっかで会ったか?」

「気にすんな。俺も苦手だ、男の名前覚えんのは。」


五条を刺した男は、そう言ってニヤリと笑みを見せた。



to be continued...



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