リンの案内で男の行方を追っていた幼馴染コンビ。

行きついた先は盤星教本部・星の子の家という場所だった。

本部が近づく度に増していく男の気配とは反対に、星漿体である天内の存在はどんどん失われていった。

その事実に震えが止まらないリンを落ち着かせるように、五条は抱きかかえている腕に力を込める。

そして敷地内に入り、本部へと続く長い道のりの途中で、2人は再びあの男と顔を合わせることになる。





第63話 懐玉 ー拾・拾壱ー





「…悟」

「ん?…あー来てるな。リン、オマエはここにいろ。絶対出てくんなよ」

「うん…」


目の前にある階段を上がってくる1つの気配。

それを察知した2人は、一気にシリアスモードになる。

怯えるリンを道の脇に建っている柱の裏に下ろした五条は、頭に手を置いたまま目線を合わせて声をかけた。

それからスッと立ち上がると、五条は道の中央へ立ち、相手を待ち構えた。


「よぉ、久しぶり」

「…マジか」

「大マジ。元気ピンピンだよ」

「反転術式!!(リンが使えたのか?)」

「正っ解っ!!オマエに喉ブチ抜かれた時反撃は諦めて、反転術式に全神経を注いだ。

 呪力は負のエネルギー…肉体の強化はできても再生することはできない。だから負のエネルギー同士を掛け合わせて、正のエネルギーを生む。それが反転術式」

「(ペラペラと…コイツ、ハイになってる…?)」

「言うは易し。俺も今までできたことねーよ。周りで唯一できる奴は何言ってるかサッパリだしな。

 でもリンが正のエネルギーを注いでくれたお陰で、死に際で掴んだ…呪力の核心!!

 オマエの敗因は俺を首チョンパしなかったことと、頭をブッ刺すのにあの呪具を使わなかったこと」

「…敗因?勝負はこれからだろ」

「あ"ー?そうか?そうだな、そーかもなあ!!」


リンが見守る中、ハイになっている五条の元へ男がものすごいスピードで向かって行く。

男の攻撃を難なくかわすと、五条はフワッと空中へ浮かび上がった。

そして反転術式によって生まれた正のエネルギーを自分の無下限術式に流し込む。

そうして生まれたのは、以前は失敗してリンに怒られていた技…"赫"だった。



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