翌日。

伏黒とスズは呪物を求めて、杉沢第三高校の生徒として学校へ潜入した。

正門が開くのと同時に捜索を開始し、昼休憩を挟んで午後も2人で呪力を追いながら学校中を歩き回る。

だがその行動も空しく、特級呪物故の大きすぎる力のせいで正確な場所を特定できないでいた。


「…ねーな。」

「ないねー。」

「ってか、なんだこのラグビー場……死体でも埋まってんのか?」

「確かに。だとしても…」

「あぁ。このレベルがウロつくなんて…2級ぐらいか?」

「うん。特級呪物のせい…かな。早く回収しないと。」

「クソ!気配がデカすぎる。すぐ隣に在るようで、遥か遠くにあってもおかしくない。これじゃ潜入した意味がまるでねー。」

「…学校を閉鎖して呪いを祓って…は避けたいなぁ。」

「だよな。特級呪物……厄介過ぎだ。」


伏黒の携帯に入っている呪物の写真を、疲労と焦りの表情で見つめる2人。

ラグビー場にも目的のものがないことを確認すると、重い足取りで何やら賑やかな校庭の方へと向かうのだった。

そこでは何故か先生と生徒が砲丸投げで勝負をしていて、生徒の方がものすごい力で砲丸を投げて圧勝していた。


「凄いなアイツ。呪力なし、素の力でアレか…禪院先輩と同じタイプかな。」

「っぽいね。あれで呪力のせたら、なかなかの呪術師になれる…って、あれ?」

「ん?どうした、スズ?」

「今のあの男の子と話してる先輩っぽい人…何か怪しい気がする。」

「! …例の引き寄せられる感じか?」

「うん。」

「ちょっと行ってみっか。」


スズは陰陽師として、相談者の体内にある呪力を見ながら除霊を行っている。

そのため呪術師よりも呪力を把握する力に長けており、強い呪力に反応して体が引き寄せられる体質なのだ。

彼女のその体質を信頼している伏黒は、スズを伴って早速そちらへ向かった。

途中、さっき凄まじいパワーで砲丸を投げていた少年とすれ違ったのだが…


チリッ


「(! 呪物の気配!明らかに今強くなった!)」

「(! 何でこっちの子!?先輩の方じゃなかったってこと…?)」

「おい、オマエ!…って速すぎんだろ!!」

「ごめん、恵。さっきのは私の勘違いだったのかも。」

「…いや、俺はスズのその体質信頼してんだ。だからきっと、あっちの先輩も何かしら関係してんだと思う。」

「! ありがとう…!恵がそう言ってくれるなら…ここから手分けしよう。私はあの先輩の方を追ってみる。」

「分かった。アイツは俺に任せろ。」

「うん、よろしく!」

「…気をつけろよ。あんまり深追いはすんな。危ないって思ったらすぐ連絡すること。」

「らじゃ!恵も気をつけてね。」

「おう。」


そう言ってお互いに笑顔を向けた後、2人はそれぞれのターゲットに向かって走り出した。



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