-side 五条-

リンが死んだ。

ガキの頃からずっと一緒で、どこ行くのも何やるのも…全部リンが隣にいた。

高専に入ってからも傍にいるのが当たり前で、傑と硝子から"ストーカーかよ!"ってよくからかわれた。


一心同体で、ニコイチで、双子の片割れで…

俺のこと、俺よりよく分かってて…

全部言わなくても、今俺が何をして欲しいかすぐ理解してくれる。

一緒にいるだけで安心して、リンにだけはめちゃくちゃ甘えられた。

…そのリンが、死んだ。

目を閉じれば、アイツの…リンの笑った顔とか明るい声が蘇ってくる。


"俺とリンは一心同体だから、まぁしょうがないよな〜"

"しょうがなくないから!"


"俺が苦手なことはリンがやる。リンが苦手なことは俺がやる。ガキの頃からそうだっただろ。"

"うん、確かに。"

"なっ?俺らはニコイチなんだよ。"


"リン〜…"

"ふふっ。悟、眠いんでしょ。"

"うん、今MAX…"

"お疲れ様。よく頑張ってるね。エライエライ。"


「…ふざけんなよ。体半分になっちまったじゃねぇか…」


上の連中を皆殺しにしようとも思った。

でも…リンが生きてたら間違いなく怒られるだろうな、って思ってやめた。

それよりも、俺には考えなきゃいけないことがある。

それは、いつだったかリンに持ちかけられた相談内容のことだった。


------
----
--


"悟〜今ちょっと時間いい?"

"ん?いいけど。"

"…陰陽師ってさ、どうやったら強くなれるかな?"

"は?何、急に。"

"今の私がそうだけど、陰陽師って難しい任務には行けないじゃない?強い呪霊は倒せないし。でもそれじゃこの先大変だと思うんだ。"

"何でだよ、別にいいじゃん。難しいのは俺らが行けばいいんだし。"

"んー…でも今のままじゃ私、自分の身もちゃんと守れないから。少しでも危なかったら悟とか傑君についてきてもらってるでしょ?あれも面倒かけて申し訳ないし…"

"俺と傑が面倒だって言ったことあるか?"

"ないけど…"

"俺らが好きで行ってんだから、オマエが気にすることねぇんだよ。"

"ありがと。でもなー…"

"…はぁ〜分かったよ。何か方法がないか、一応考えてやるよ。"

"本当!?さすが五条家の当主!ありがとう!未来の陰陽師の子のためにもよろしくお願いします!"


------
----
--


「悪ぃ、リン…まだ全然浮かばねぇや。でも必ず見つける。オマエが言う"未来の陰陽師"は絶対守るから。」


"だから今はゆっくり寝てろ。"

そう言いながら花を供えて、俺はリンの墓を後にした。

俺にとってもう1つの大きな出来事が起きるのは、それから数週間後のことだった…



- 200 -

*前次#


ページ:

第0章 目次へ

第1章 目次へ

第2章 目次へ

第3章 目次へ

第4章 目次へ

第5章 目次へ

第6章 目次へ

章選択画面へ

home