"強くなってよ。僕に置いていかれないくらい。"

幼き日の伏黒に対して、五条自身の願いを込めて告げた言葉。

それを最後に、彼の意識はようやく現在へと戻ってくる…





第65話 これからの話





2018年10月19日

覚醒しつつある五条の脳内に、馴染みのある声が聞こえてくる。


"五条先生。"

"先生も寝るんだな。"

"当たり前でしょ。何言ってんの、アンタ。"

"でもだいぶレアな光景だと思うよ。"

"五条先生!!"


伏黒の一声で、五条は長かった夢の時間から目覚める。

目隠しを上げながら辺りを見回せば、そこには未来を担う強く聡い自分の教え子達がいた。


「おっ、起きた。」

「おはよ〜悟先生。」

「ちょっとその椅子高いヤツでしょ。」

「呼びつけといて居眠りしないでくださいよ。」


四者四様の言葉に、五条は嬉しそうに笑顔を見せる。

特にすぐ傍で顔を覗き込みながら声をかけてきたスズの姿が視界に入ると、その表情はますます柔らかくなった。

それから一度伸びをして立ち上がると、五条は4人に次の任務について話し始める。

チーム1年の次なるミッションは、彼が以前スズに話していた内通者の件だった。


「内通者?学生の中にですか?」

「うん。まぁまだ疑ってる状態だけどね。皆には歌姫と一緒にその人物のとこに行って欲しい。」

「歌姫先生ってことはさ…」

「えぇ、恐らくね。」


スズと釘崎が何かを察したように小声で会話をしているのを他所に、虎杖は1人ポカンとしていた。

詳細は今回引率する歌姫から聞くようにと伝えて、場は解散となった。

午前中それぞれ任務に行っていた3人は、この後報告書作成があるため各自部屋に帰っていく。

ではスズはというと…


「もう少し仕事あるから手伝って。」

「あれ、まだあるんですか?終わらせたつもりでしたけど。」

「うん、もう少しだけ。お願いね。」

「分かりました!」


五条からのお願いを快諾すると、スズは手を振って部屋に戻る3人を見送った。

虎杖と伏黒が2人のことを浮かない表情で見つめていることに気づいたのは、恋愛事に関しては抜群の鋭さを見せる釘崎だけだった。



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