数日後…

強く雨が降りしきる中、スズ達4人はとある場所の地下駐車場に集められていた。

そこには今回引率する歌姫の姿もある。


「コッチよ。五条から内通者の話は聞いてるわね。」

「「「「はい。」」」」

「多分呪詛師と通じてるのは2人以上。1人は学長以上の上層部…コッチは私じゃどうしようもない。

 もう1人、その上層部に情報を流してる奴がいる。それが今回の標的ターゲット。まだ容疑の段階だから、捕縛後尋問します。」

「で、京都の誰ですか?私達東京側に頼むってことは、そういうことでしょ?」

「釘崎スゲーな…」

「…」

「歌姫先生…大丈夫ですか…?」

「ありがと、スズ。内通者は…」


そうして歌姫が告げた名前は、京都校のメカ丸こと与幸吉だった。

彼女の案内で更に地下へと降りて行った4人は、そのまま薄暗い通路を進む。

他の誰も怪しくないため、消去法で疑われることとなったメカ丸。

だが彼の術式…傀儡操術は、内通者としての仕事にはうってつけのものだった。

小声でそんな会話をしているうちに、一行は1つの部屋へと到着した。


「…歌姫先生、本当にここですか?」

「事前調査では、ここと報告されてるわ。…何か気になる?」

「はい…呪力がなさ過ぎます。」

「まさか…とりあえず入りましょう。」

「そうですね。」

「じゃあやるぞ。」


そう言って自分に力強い眼差しを向ける虎杖に、スズは頷きを返す。

だが彼の打撃で破られた扉の向こうには、メカ丸はおろか人っ子1人いなかった。


「…えーと……」

「やられたわね。スズの言う通りだったわ…」

「残穢の感じからすると、かなり前からいなくなってたと思います。」

「でも逆に…」

「これでメカ丸で確定かしら。」


空振りに終わった4人の任務。

同じ頃、肝心の与幸吉は、別の場所で2人の人物と会っていた。

情報を流す代わりに、無残な姿になっている自分の体を直す…与は今回そういう縛りで動いていたのだ。


「無為転変。」

「…」

「かわいくないなーもっとハシャげよ。」

「…それは事が済んだ後だろう。」

「…それもそうだね。じゃあ…始めようか。」


その言葉をキッカケに、与と真人は向かい合った。

彼らの様子を静かに見つめているのは…

スズや五条がよく知っている、あの人物だった。



第4章 fin.



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