与と真人が対峙し、ぶつかり合おうとしていた頃…

そちらの緊迫した空気とは打って変わって、東京校の1年メンバーは間近に迫ったあのイベントの話題で持ちきりだった。





第66話 宵祭り ー壱・弐・参ー





「は?ハロウィンパーティー?」

「そっ!世の中がこんだけ盛り上がってんのに、何もやらないって選択肢はないわ!」

「おっ、いいね!楽しそうじゃん!」

「でしょ?いつ何が起こるか分からないからこそ、今を全力で楽しまないと!ねっ!」


スズに笑いかけられると、伏黒の眉間のシワがいとも簡単に消え去った。

穏やかな顔で"そうだな"と返す彼の言葉を聞くや否や、釘崎はニヤリと笑みを見せる。


「じゃあパーティー会場は伏黒の部屋で決まりね!」

「は!?何でそうなんだよ!!」

「だって今、"そうだな"ってやらしい顔でスズに言ったじゃない。」

「なっ…!んな顔してねーよ!!」

「悠仁は料理担当ね!」

「オッケー!…なぁ、せっかくなら皆で仮装しねぇ?」

「アンタにしてはいいこと言うじゃない!」

「楽しそう!じゃあ衣装準備しなきゃ!今から買い出し行く?」

「行きましょ!伏黒の部屋も早く飾り付けないとだし、いろいろ買わないとね。」

「馬鹿か!早すぎだろ!!」

「何か楽しそうな話してるね〜」


そう言って会話に入ってきたのは、4人の担任の先生だった。

スズと虎杖が経緯を説明すれば、五条は当然のように自分も参加したいと言い出す。

1人嫌がっているメンバーもいたが、"お金なら出してあげるよ?"という神の一言で釘崎が担任の参加を即断即決した。

その後各自支度を整え、一行は渋谷へと繰り出した。


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私服ということもあり、サングラス姿で街を歩く五条。

ただでさえ高身長で目立つのに、今日は顔面を大胆に晒しているため、道行く女性達の視線が凄まじい。

その彼と話しながら歩いている虎杖や伏黒にしても、そこそこカッコいい顔をしているわけで…

並んで歩く3人の男性陣は、渋谷中の女性の注目の的だった。


「ねぇ、何かアイツらと一緒にいるの疲れるんだけど。」

「確かに…まさかこんなことになるなんてね。」

「あれ?スズー!釘崎ー!早く行こうぜ!」

「どうした?腹でも減ったのか?」

「え、じゃあどっか店入る?行きつけのとこ予約入れよっか。」

「先生の行きつけって、やっぱり高級レストランとかなの?」

「どうかな〜星はたくさんついてるとこだけど、高いって感覚はないかな。」

「いや、それ絶対高い店ですよ。嫌味ですか。」


女性陣の気苦労も知らず、男3人は周りの視線に全く気づかずワチャワチャと話し続けている。

おまけに名前を呼ばれ、彼らの連れだとバレた瞬間、スズと釘崎にも視線が集まる。

それは当然、良い方の集まり方ではない。


「…スズ、今日は心して行くわよ。」

「うん…帰ったら女子会しようね。」

「絶対ね。」


小声で会話をした2人は、引きつった笑顔のまま男共の元へ駆け寄るのだった。



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