カグツチにスズのことを任せると、五条は再び呪霊達と相対する。
愛弟子が頑張ってくれているお陰で、彼の周りにはある程度のスペースができていた。
それに加え、傷ついた人間達がすぐに治療されていく光景は、五条が自由に戦うことを大いに助けていた。
「(スズ、強くなったな〜帰ったらどうやって褒めてあげよう。)」
必死に自分のことをフォローしてくれるスズの姿に、五条はまた想いを募らせるのだった。
だがそんな彼に、2体の呪霊は容赦なく挑んでくる。
同時に五条に殴りかかってくると、ある作戦を発動した。
「"領域展延"」
「ナルホドというか、呪詛師と組んでんだからそう来るか。」
自分を包み込む液体のような術式…"領域展延"。
必中効果が薄まる一方で、確実に術式を中和してくる。
術式を中和するということは、五条を守る無限を突破し彼に触ることができるのだ。
瞬時に攻撃を避け、ホームドアの上に降り立った五条。
そして少し離れたところで、彼をフォローしながら人間達を助けているスズ。
2人を見つめながら、漏瑚の脳内には夏油とのやり取りが浮かんでくる。
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「五条悟が一番力を発揮するのはどんな時か分かるかい?」
「勿体ぶるな、話せ。」
「それはね…1人の時だよ。どんな術師でも、彼の前では基本足手まといだ。だからまず、その更に下の非術師で五条悟の周囲を固める。」
「なるほどな。」
「でも1人だけ、彼の傍にいても足手まといにならない人物がいる。」
「誰だ。」
「前に少し話した、木下スズという少女だよ。彼女は足手まといどころか、五条悟の強さを何倍にも増幅させる可能性がある。」
「あの小娘にか?」
「そう。君には分からないと思うけど、恋の力はいつの時代もすごいものなんだよ。」
「はっ、くだらん。」
「おまけにスズには治癒の力がある。こちらがどれだけ非術師を集め傷つけても、彼女がいる限り全て治してしまう。」
「邪魔だな。最初に殺すか。…いやそもそも、五条はその女を連れてくるのか?」
「どうかな〜私は連れてくるような気がしてる。でも仮に連れてきたとして、君達は彼女に指一本触れられないと思うよ。」
「何故だ。そんなに強いようには見えなかったが。」
「彼女自体は強くない。でもあの五条悟に守られてる…それだけで彼女は無敵だ。」
「ではこちらとしては、その女が来ないことを祈るということか。」
「いいや、そんなことはない。来たら来たで利用すればいい。何も問題はないよ。
とにかく五条悟を集中させるんだ。呪霊攻略、非術師救出。最低でも20分は欲しい。その後は私と"獄門彊"の出番だ。」
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「逃げるなと言ったハズだぞ。こうでもせんと分からんか?」
「えっ」
五条の方を見ながら、漏瑚は傍にいた人間の首をパキッともぎ取った。
まるでフィギュアの首を取るように、いとも簡単に人間を殺す姿に、スズは底知れない恐怖を感じる。
彼女の強張る表情を横目に見ながら、五条は愛用の目隠しを取り去る。
そしてスズには絶対に向けない声と表情で、冷たく言い放つのだった。
「……正直驚いたよ。」
「なんだ?言い訳か?」
「違ぇよハゲ。この程度で僕に勝てると思ってる脳みそに驚いたって言ってんだよ。」
「(! 悟先生、雰囲気が変わった…!)」
「そこの雑草。会うのは3度目だな?ナメた真似しやがって。まずはオマエから祓う。」
ホームドアから降り立った五条はそう言って、何度となく彼の前に姿を見せた呪霊・花御の方へ歩き出した。
to be continued...
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