どこに行っても同じぐらいたくさんの人がいる渋谷駅のホーム。
その人混みの中を、漏瑚はすり抜けるようにして逃げていく。
後ろからは鬼気迫る表情の五条と、式神達の手を借りながら師匠の周りにスペースを作るスズが追いかけていた。
「(花御の死を無駄にするな。人間に紛れて展延によるヒット&アウェイに徹するのだ!)
脹相!!協力しないのであれば、貴様から殺すぞ!!」
「はいはい…」
「(脹相って言うんだ、あの人…)カグツチ!避難手伝って!」
『おう!』
脹相が繰り出した血の矢が通る軌道上の人々をスズとカグツチが避難させ、守りの体制を取る。
弟子の頑張りのお陰で、五条は周りの様子に惑わされず冷静に状況を分析していた。
「(つかず離れず…でもそれも限界でしょ。呪霊が見えない人達が、僕やスズを避け始めた。
このまま人が減り続けスペースができれば、火山頭を捉えられる。さっきみたいに術式を解いて誘うのはなしだな。
コッチの狙い…近接フルボッコはもう晒したし、距離を取って九相図と連携して人混み越しに大技を出されても面倒だ。ごめん…全員は助けられない。)
その代わり、絶対祓ってやる。」
「先生…!(よしっ、私も…!)」
「(まだか…!?もう20分は過ぎたハズだ!!)」
ますます焦りを見せる漏瑚だったが、その彼の元にやっと安心材料が到着する。
不意に辺りに、ギィィインという嫌な音が響き渡ったのだ。
今の状況では絶対に動いているはずのない電車が、明治神宮前駅の方からホームへと入って来る。
この場から逃げられると思った人々が、我先にと電車へ乗り込むため駆け出した。
「うわっ…!ちょ、ちょっと押さないで!」
「スズ、平気か?しばらく俺から離れんな。」
「は、はい…!」
人混みをかき分けながら立つ五条にしがみつくスズが見たものは、電車の中に詰め込まれたいっぱいの改造人間だった。
電車の扉が開くことで当然の如く流れ出てくる改造人間達によって、その場の人間達は次々にやられていく。
あまりに悲惨な状況に震えるスズを抱き寄せながら、五条も戸惑いを隠せないでいた。
「…何考えてやがる。」
「漏瑚〜!いやー空気が美味しいね。恐怖が満ちてる。やっぱり人間少しは残そうよ。」
「あの小娘のせいで、人間にはそれ程被害は出ていない。」
「あ〜やっぱり来たんだ〜スズちゃん。この状況で被害抑えるとかやるね〜!そういえば花御は?」
「花御は死んだ。」
「……マジ?」
虎杖が憎んでも憎み足りない、あのツギハギの呪霊までもが、渋谷駅へと降り立った。
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Q. アナタにとって五条悟とは?
虎杖は言う…
「先生!!先生がいなかったら、俺今頃死刑だったみたいよ。そんで…」
伏黒は言う…
「一応恩人です……一応。それから、これは俺に限った話ではないですが…」
釘崎は言う…
「正ー直、私そこまで知らないのよね。ただこれだけは言えるわ。」
真希・パンダ・狗巻は言う…
「バカ。」「バカだな。」「しゃけ。」
「「「でも…」」」
七海は言う…
「軽薄。個人主義。」
東堂は言う…
「言うまでもなく…」
彼の想い人・木下スズは言う…
「お兄ちゃんで、師匠で、先生で……私に初めて告白してくれた人、です。子供みたいなとこもあるけど、やっぱり…」
「「「最強。」」」
to be continued...
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