23:20 道玄坂 109前
虎杖がこの場を去ってから数分後、スズの意識が戻った。
呪力の大量消費で体が重く動き出せない中で、彼女は素早く辺りの様子を探る。
呪力把握に関しては、五条に匹敵するものを持つスズ。
故に同期・先輩・大人組…自分の仲間の大ケガや死が手に取るように分かってしまう。
そして先程まで傍にいたはずの虎杖が、さらにボロボロになっていることも…
溢れてくる涙をグイっと拭うと、1つ大きな息を吐いて、スズは動き出した。
第79話 渋谷事変 ー拾参ー
23:36 渋谷警察署宇田川交番跡
傷だらけになっているであろう虎杖の呪力を探り、スズはここに辿り着いた。
今彼女の数m先には、師匠を封印した憎き男が立っている。
「助けてあげようか、真人。」
「……返して…」
「おや、役者が揃ったようだ。」
「! スズ…!」
振り返った先には、フラフラしながらも何とか立っている同期の姿。
虎杖はすぐさまスズの元へ駆け寄り、その体を支えた。
そして彼女を地面に座らせると、目線を合わせ声をかける。
「スズ、動いて大丈夫なの?」
「大丈夫。呪力がないだけで、体は何ともないから。それより悠仁の方が「俺はいいんだ。」
「え?」
「…俺は、もういいんだ。それより…アイツが五条先生を?」
「あ、うん。先生を封印した獄門彊を持ってる。」
「分かった。スズはここにいて。俺が絶対守るから。」
少し笑みを見せた虎杖は、スズの頭を優しく撫でると、偽夏油の方へ向き直った。
"五条先生を返せ!!"
そう叫びながら、虎杖はこの事件の黒幕に向かって行く。
だが呪霊操術を術式に持つ偽夏油が繰り出す協力な呪霊に、虎杖はあっという間に血にまみれる。
こちらへ来ようとするスズを制止し、偽夏油を睨みつける彼の前で、さっきまで自分と激闘を繰り広げていた真人がいとも簡単に黒い玉に成り果てた。
「続けようか。これからの世界の話を。」
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