場が一瞬の静寂に包まれる中、新たな人物が姿を見せる。

それは渋谷駅の地下で五条が相手にしていた彼だった。

あの時はやる気があるのか分からないような無機質な表情だったのに対し、今の彼の目は怒りに満ち溢れていた。


「やあ、脹相。」

「アイツは…!!」「あの時の…!」

「(俺には3人の親がいる。母、母を孕ませた呪霊、そしてその間に血を混ぜた…母を弄んだ、憎むべき…)」

「気づいたようだね。」

「そういうことか!!加茂憲倫!!」

「「「加茂…憲倫!?」」」

「私!?」


よく知った名前が突然聞こえてきたことに、高専メンバーは一斉に京都校の加茂に視線を向ける。

教師陣はその名を知っているようで、加茂家の汚点で史上最悪の術師だと生徒達に言い聞かせた。

そして怒りを露わにした脹相は、そのまま偽夏油へと向かって行く。


「よくも…!よくも俺に!!虎杖を!!弟を!!殺させようとしたな!!」

「引っ込め三下。これ以上私を待たせるな。」

「どけ!!俺はお兄ちゃんだぞ!!」

「(悠仁の体からあの人の呪力を感じる…つまり悠仁はあの人にやられた。なのに…)何か悠仁のこと守ってくれようとしてない?」

「う、うん…」


自分のことを"三下"呼ばわりした白髪の呪詛師が追加され、脹相は偽夏油と合わせて2人を相手に戦い始めた。

彼は虎杖のことを弟だと言い、何の迷いもなく敵に挑んでいく。

そんな姿を不思議そうに見つめながら、虎杖やパンダ達もまた戦闘準備を整える。

が、その時…


「氷凝呪法…"霜凪"!!」


白髪の呪詛師が唱えた呪いによって、高専メンバーは一瞬にして氷漬けにされてしまう。

ただ1人…スズを除いて。


「えっ…?何で私だけ…」

「木下スズ様ですね。わたくし、裏梅と申します。」


周りに目をやっていたスズが視線を戻すと、目の前に白髪の呪詛師・裏梅が膝をついていた。



to be continued...



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