リカの手に乗って移動すること数分、スズは先程連れ去られた場所の近くにある大通りに到着した。
金属や拳のぶつかる音と共に、虎杖と乙骨の呪力がバシバシと伝わってくる。
芝居だと言われていなければ止めに入りそうになる程、2人の戦いは鬼気迫ったものだった。
「顔がマジじゃん…」
ボソッと呟くスズを手から降ろすと、リカはジェスチャーで"ここにいろ"と伝えてくる。
素直に首を縦に振るスズを見て満足そうに頷いてから、リカは主の元へと向かった。
そして…
「なにしてるのォ…」
「!」
「遊んでるだけだよ、リカちゃん。」
「(リカ!?なんだコイツ!!式神!?どっから出てきた!?動けねぇ!!なんて力だ!!)」
「抑えててね。」
"ごめんね、虎杖君"
虎杖の心臓を刀で一突きした後、乙骨は静かにそう告げた。
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「スズちゃん、久しぶり!」
「お久しぶりです、憂太先輩!」
「手紙読んでくれた?」
「はい。いろいろと動いて下さって、ありがとうございました…!」
「可愛い後輩を助けるのは当然のことだよ。」
そう言って笑顔を向ける乙骨は、先程までの冷たい表情の人物とは別人のようだった。
虎杖の胸を一突きした後、彼はすぐさま反転術式を使って体を元通りにした。
まだ意識は戻っていないが、虎杖の体力を考えれば、復活するのも時間の問題だろう。
「本当に刺した時は、こっちまで心臓止まるかと思いました。」
「あははっ!驚かせてごめんね。…うん、匣の方もバッチリだね。これならしばらく騙せるかもしれない。」
「良かった…!あ、あの…悠仁と一緒にいた、顔に線のある男の人は…」
「直哉さんのことも気になるし、これからちょっと見てくるよ。だから心配しなくて大丈夫。」
「何から何まですみません。ありがとうございます!」
「いえいえ!じゃあリカちゃん、もう少しスズちゃんのことお願いね。」
「わがったァ」
「避難場所までリカちゃんが連れて行ってくれるから、そこで休んでて。こっちが片付いたら、僕も虎杖君とすぐに向かうから。」
「分かりました!」
芝居の信憑性を高めるため、意識のない虎杖を連れて、乙骨はその場を後にする。
そしてスズもまた、再びリカと共に移動を開始するのだった。
to be continued...
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