地下駐車場の入口を後にした3人は、先程着替えをしていた辺りまで戻って来た。

伏黒の機転のお陰で、何とか内部に潜り込むキッカケができ、ひとまず第一段階はクリアといったところ。

心配していたスズの件も、名前・性別どちらもバレることなく事が進んだ。


「伏黒、危ねーなぁ。ハッタリが過ぎるって」

「そうでもないだろ。呪詛師も参加してるなら、それなりに入れ替わりもあるハズだからな。それより…」

「あぁ、いるな。防犯カメラで俺達を見てたってことは…」

「高確率で秤先輩はあそこにいる。スズ、呪力的にはどうだ?」

「いる。でももう1つ気になる呪力があるんだ。秤先輩の近くにいるから、親しい仲だと思う」

「なら高専時代の仲間かもな。スズは引き続き呪力把握に集中してくれ。動きがあったら随時連絡頼む」

「分かった」

「虎杖は試合に出場して内側から探りを入れてくれ。俺もその間にあの駐車場に潜入する…かも」

「かもぉ?」

「俺は多分泳がされてる。俺の潜入がバレた時点で、虎杖やスズへの信用も0からマイナスになって、俺達が秤さんと接触する機会もなくなる」

「じゃあそん時はもう力尽くだな」

「それは本当の最終手段だ。俺達はあくまで秤さんに協力をお願いしに来ている立場だ。今後の関係に響く事態は極力避けたい。

 正直今晩俺は動くべきじゃないと思う。でも津美紀の回游への宣誓期限まで時間は無駄にしたくない」

「今…10日の17時…期限まで9日か。ここまで来るの思ったより時間かけちゃったからなぁ」

「確かに。何もしないでいるのも落ち着かないしね」

「あぁ。だから俺も今晩潜入して秤さんを探るが、ヤバそうならすぐ退く。だから"かも"だ」

「「了解!」」


そうして各自の動きを確認した3人は、試合開始の時間に合わせて一度別れるのだった。


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試合の時間が近づき、虎杖とスズは地下駐車場へと向かう。

中へと案内された2人は、さっきの男から試合のルールを伝えられる。

と言っても内容は至ってシンプルだ。

"逃げるな"・"術式は使うな"…この2つだけ。

観客の殆どは非術師であり、術式が見えない。

つまり術式が見えない客でも楽しめるよう、限られたエリアでド派手に肉弾戦をしろと、そういうワケだ。

そこで良い動きができれば、胴元である秤から声がかかる可能性がある。


「要は派手に暴れりゃいいわけだ」

「お兄ちゃんが一番得意なやつだね!」

「だな!」


やることがシンプルになり、虎杖は強気な笑みを見せる。

そしていよいよ会場へ入ると、そこは建物のフロアをぶち抜いて造った何とも武骨な場所だった。

吹き抜けのようになった空間で戦う虎杖を、上の階から観客が見て楽しむという仕組みである。


「フード野郎は邪魔にならねぇように端寄ってろ」

「分かった。お兄ちゃん、頑張って!!」

「おう!」

「そしてアレがオマエの対戦相手だ。…俺も初めて見た時はぶったまげたよ」

「あぁ。正に客寄せってわけだ」

「嘘…こんなとこで…」

「さぁ今夜も始まりました!ガチンコファイトクラブトーナメント!!実況はお馴染みジョン☆ボビがお送りします!!

 早速ゴキゲンな対戦カードを紹介するぜ!!突如現れた刺客!!三角の次も四角!!

 デンジャラス火の玉ボーイ!ユゥウウジィ!イタドリィィイ!!

 立てばパンダ!座ればパンダ!歩く姿はマジパンダ!!パ!!ン!!ダ!!だァアアア!!」


虎杖の相手は他でもない、よく見知った先輩・パンダだった。

驚く間もなく試合が始まると、2人は会場全体を使って派手な戦いを繰り広げる。

拳を交えながらの会話は、当然互いの現状についてだ。


「パンダ先輩は秤先輩に会えた?」

「いや、知った仲だから警戒はされてないが避けられてる。あとはもう1人の3年の術式が問題でな。高専生ってことは隠してるんだろ?」

「うん」

「あそこにいるフード被ってんのは?」

「スズ。名前と性別隠した方がいいってことで、体の弱い俺の弟ってことになってる」

「確かにスズの名前は意外と知れ渡ってるからな。よしよし…後は分かるな?」


その言葉を最後に、虎杖はパンダの腹に一撃を浴びせた。

手加減した攻撃に対し、大袈裟に痛がるパンダの演技力に後輩2人は苦笑い状態。

こうして虎杖勝利のシナリオが完成し、その活躍ぶりから無事に胴元の目に留まることができたのだった。



to be continued...



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