一通り情報共有が終わり、残すはそれぞれが向かう結界(コロニー)を決める作業だ。

乙骨は一足先に宮城へ向かっているが、残りのメンバーは誰と誰がどこへ行くか…

それを話し合おうとしたまさにその時…!

けたたましい音と共に、骸骨の頭部に羽が生えたような小さな生き物が現れた。


「ひぇっ…!」

「なんだ!?」

『泳者(プレイヤー)による死滅回游へのルール追加が行われました!!

 総則(ルール)9 泳者は他泳者の情報…"名前"、"得点"、"ルール追加回数"、"滞留結界"を参照できる!』


突然の出来事に、皆が皆謎の生き物に視線を向ける。

止まっている時間を動かすように、スズが"あなた何者?"と口火を切った。


『俺はコガネ!!泳者と死滅回游を繋ぐ窓口さ!!』

「なんかさっきとキャラ違くねぇか?」

『さっきのは死滅回游からのアナウンス!!今は泳者・虎杖悠仁個人に憑いてる窓口として喋ってるぜ!!』

「そういや天元様が言ってたなぁ…」

「いや、おかしいだろ!!何で虎杖がもう泳者としてカウントされてんだ」

「!」

「羂索に術式や呪物を配られた奴以外は、結界に侵入して初めて泳者になるハズだろ」

「そっか…コガネ!私達にはあなたは憑いてないの?」

『憑いてない!!1人に1体だからな!!』

「宿儺だ。宿儺も羂索と契約して呪物に成った術師の1人だったんじゃねぇかな」

「(死滅回游への参加が契約に含まれてるのか…?)

 でもやっぱりおかしい。宿儺の指は、虎杖(オマエ)の意志で取り込んだだろ。俺とスズが証人だ」

「…」

「…後にしよう。虎杖、早速コガネに泳者の情報を出させてくれ」

「コガネ、できる?」

『あいよ!!』


虎杖の指示で動き出したコガネは数秒後、自身の体部分にその結果を映し出した。

皆でそれを覗き込めば、一覧の中にひと際点数の高い人物を発見する。

ルール追加をしても尚、100点を持っているその人物は、この数日で40人以上を殺していることになる。

自分達とは明らかに考え方が違う人物であることに、スズや虎杖は渋い表情を見せた。

そんな中で1人冷静だった伏黒は、コガネに再び問いかける。


「コガネ、得点が100以上の泳者だけリストアップできるか?」

『俺は虎杖悠仁に憑いてるからなぁ』

「あ、いいよいいよ。伏黒の言うことはきいて」


今度の処理は少し時間がかかるらしく、画面には"検索中"の文字がしばらく表示されていた。

その間に伏黒は、今自分が問いかけた質問の意味を皆に伝える。

羂索と契約した術師の中には、死滅回游に対するモチベーションが高くない者もいるのではないか。

今ルールを追加した鹿紫雲のように点を持て余してる人物がいるのなら…


「ルール追加には100点が必要…」

「100点以上持ってて、ルール追加をする気がない奴!!そいつを伸して…」

「津美紀が回游を抜ける穴を作らせる!!」


スズ・虎杖・伏黒が互いの認識を合わせるのと同時に、コガネの検索も終わる。

表示された一覧には、鹿紫雲の他にもう1人該当する人物がいた。

これでこちら側がやることはかなり具体的になる。


1、獄門彊の封印を解く"天使"を捜す。

2、100点以上持つ泳者…鹿紫雲一と日車寛見を狩り、"泳者間の点の譲渡"及び"点の消費による回游離脱"というルールを追加する。


やることが決まれば、あとはどう動くかだ。

コガネの検索機能を使って"天使"を捜してみるが、そう簡単には見つからない。

天元から聞いた"第2結界にいる"という情報だけで動かざるを得ないだろう。

姿形も分からない相手をちゃんと見つけられるのか訝しむ秤だったが、頭を切り替えテキパキと皆の行動を決めていった。


「ま、いいや。俺とパンダが東京第2、伏黒きゅんと虎杖が第1。綺羅羅とスズは結界外で待機、でいいな」

「根拠は?」

「得点だけ見れば、一番強い鹿紫雲と俺がやんのが順当だろ」

「えー私達仲間外れぇ?」

「パンダは鼻が利くから天使捜しに注力しろ。

 乙骨から連絡ねぇってことは、結界の中じゃ携帯は使えねぇ。外の状況を把握できる奴はいた方がいい」

「はぁい」

「スズはそもそも呪力がなさ過ぎだ。んな状態で中入ったら瞬殺される」

「待って下さい。スズは俺や虎杖と同じ第1にして下さい」

「俺らもうスズと離れたくねぇんだ」

「あぁ?んな色恋な理由で納得できるわけねーだろ」

「違うんです、秤先輩!それだけじゃなくて…悠仁の中にいる宿儺…あ、呪いの王のことですけど、彼が恵を狙ってるみたいなんです」

「狙ってる?理由は?」

「それは分かりません。でも万が一何かあった時、私なら止められるかもしれないんです」

「だから近くにいた方がいいと。…オマエ、呪いの王様にも気に入られてんの?」

「あ、いや、まぁ…多少…」

「いや、多少なんてレベルじゃないだろ。渋谷でスズが宿儺に言うこと聞かせてるの目の前で見たぞ」

「王様と御三家を手懐けてんのかよ。オマエ、最強じゃん」

「や、やめてください…!」

「とりあえず理由は分かった。じゃあスズは第1な。アイツらに死ぬ気で守ってもらえ」


秤の言葉に虎杖と伏黒の方をチラッと見るスズ。

その視線に気づいた2人が笑いかければ、申し訳なさそうにスズもまた笑みを見せるのだった。


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11月12日 12:00 東京


『よぉ!俺はコガネ!!この結界の中では、死滅回游って殺し合いのゲームが開催中だ!!

 一度足を踏み入れたらお前も泳者!!それでもオマエは結界(なか)に入るかい!?』

「「「あぁ、問題ない」」」


担当する結界の前で、秤・パンダ・虎杖・伏黒はそう答える。

スズもまた答えようと口を開いた、その時…


"スズ"


誰かに呼ばれた気がして後ろを振り返る。

だが当然のように、そこには誰もいなかった。


「(気のせい…?)」

「スズー!行くよー!」

「あ、はーい!」


虎杖に呼ばれ、そちらへ小走りで向かうスズ。

この時コガネに返事をしなかったことが、自分の行く末を大きく変えることになるなんて…

そんな彼女を巻き込み、いよいよ死滅回游が始まる…!



to be continued...



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