朱雀での移動は目立つからダメと言われたため、かなり高い位置を飛んでいるスズと朱雀。

半信半疑だった結界の出入りもあっさりとクリアし、1時間もしないうちに東京第2結界へと突入していた。

すぐに呪力を探り、その場所に向かえば、頭だけになったパンダを発見する。

そこには角のような髪型をした1人の男が立っており、持っていた棒でパンダの頭を突き刺した。


「点が入らねぇってことは死んでねぇのか。パンダは表情が分かりづらくていけねぇ。さっさと吐けよ、宿儺のこと。」

「悪いな。パンダは口が堅い。」

「…そうか。じゃあ二度と開かなくしてやるよ。」

「やめて!!」


朱雀から飛び降りたスズはトップスピードで2人に駆け寄ると、呪力を込めた足で男の棒を払う。

反動で棒から落ちたパンダの頭を、スズは優しく受け止めた。


「スズ!」

「大丈夫…じゃないですよね?どうして喋ってられるんですか!?生きてるの?」

「ギリギリな。それよりすぐ逃げろ。コイツはヤバ「女、パンダの仲間か?」

「…だったら何ですか?」

「感じたことのない呪力だ。面白いな。コガネ、コイツは泳者か?」

『泳者……じゃないデス!!』

「そうか…泳者じゃねぇなら手は出さねぇ。だからしばらく付き合え。」


男はそう言いながらスズの方へ近づこうとするが、その刹那…!

突如もの凄い音と共に、横にあったコンテナがぺしゃんこになる。

直後に感じる圧倒的な呪力は、よく見知ったものだった。


「少し痩せたか!?パンダ!!…と、スズ!?オマエ何でいんだよ!」

「秤!!」「秤先輩…!」

「おい、あんまワクワクさせんなよ。」


一瞬にして戦闘モードになった角頭の男は、すぐさま秤と拳を交える。

パンダの頭を抱えて立ち尽くしていたスズが気づいた時には、2人は場所を変えて戦いに興じていた。


「…とりあえず助かりましたね。」

「あぁ。秤がナイスタイミングで来てくれたお陰だな。」

「はい!…っと、ボーっとしてる場合じゃない!すぐに治療しますね。」

「ありがとな。スズが来てくれたタイミングもナイス過ぎるわ。」


それから30分以上かけて、スズはパンダの治療に当たった。

パンダの核が残っていたため死なずに済んだが、体はボロボロの状態。

こういう場合どう治すのが正解か分からずにいたが、核が回復すると同時に、体はスズの正の力を使って自然に補われていった。

そして完成したのが、元のサイズの1/10程になったパンダであった。


「えらい可愛くなりましたね、先輩。」

「可愛いのは元からだ。全部スズのお陰だよ。マジでありがとな!」

「どういたしまして!」

「にしても何でここにいんだ?しかもさっき泳者じゃないって…」

「えー…ちょっといろいろありまして…」


そう話を切り出したスズは、ここに来るまでの経緯を簡単に説明した。

渋谷に続きここでも宿儺が絡んでいることに、パンダは驚きを超えて感嘆のため息を漏らす。


「はぁ〜!愛され過ぎだろ。すげーな。」

「ははっ…」

「でもそのお陰でアイツに殺されずに済んだんだから、結果オーライか。」

「ところでさっきの人は誰なんですか?」

「そうそう、俺もそれを知りたかったんだよ。コガネ〜アイツ誰だ?」

『鹿紫雲一だ!!』

「あれが!?」「私達が捜してた人…!」


スズとパンダが顔を見合わせた数秒後、海の方から大きな爆発音が聞こえてきた。



to be continued...



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