建物の外では、釘崎を連れて先に脱出した伏黒が待機中だった。

中に残してきたスズと虎杖の様子を伺っていると、ふとさっきまで感じていた気配が消えたのに気がつく。


「(! 生得領域が閉じた!!特級が死んだんだ…後は虎杖とスズが戻れば…)」

虎杖ヤツなら戻らんぞ。」

「!」

「そう脅えるな。欲しいものが手に入ってな…今は機嫌がいい。少し話そう。」

「欲しいもの…って、スズ!!」

「静かにしろ。起こしたくない。」


突然現れた宿儺と、彼が発した言葉に、伏黒は一気に緊張モードになる。

さらに宿儺に抱えられているスズの姿に気づいた途端、その緊張感はより高まるのだった。

近くの木に寄りかからせるようにスズを下ろし、優しく頬を撫でると、宿儺は伏黒の方へ視線を移した。


「(あの様子じゃ、スズを傷つける心配はなさそうだが…どうする。)虎杖は…?」

「なんの縛りもなく、俺を利用したツケだな。俺と代わるのに少々手こずっている様だ。
 
 しかしまぁそれも時間の問題だろ。そこで俺に今できることを考えた。」

「?」


戸惑う伏黒を尻目に、宿儺はおもむろに虎杖の体の中心に手を突っ込む。

そしてブチブチという気持ち悪い音を立てながら、彼は虎杖の心臓を取り出した。

取り出しても尚、ドクンドクンと脈打つそれを宿儺はゴミのように捨て去った。


「俺は心臓コレなしでも生きていられるがな、虎杖こぞうはそうもいかん。俺と代わることは死を意味する。更に、駄目押しだ。」

「(宿儺の指!!特級が取り込んでいたのか!!)」

「さてと、晴れて自由の身だ。もう脅えていいぞ。殺す…特に理由はない。」

「(スズに見せてた顔とはえらい違いだ。)…あの時と立場が逆転したな。」


虎杖が指を飲み込んだあの日と、殺し殺される関係が逆になる。

しかも3本目の指を取り込んだ今の宿儺は、あの日よりも力が増しているはず…

穏やかに眠るスズをチラと見てから、伏黒は覚悟を決めて宿儺と対峙するのだった。



to be continued...



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