同期3人で少し会話をしているうちに、時刻は15時を10分程過ぎていた。

そしてその時は不意に訪れる。

パッと3人が顔を上げた時、目の前に1人の女性が現れた。





第101話 膿む





「おっ?とっと?」

「津美紀さん!」

「え、この人!?ドンピシャ転送??」

「あ、恵。スズちゃんも。よかった、すごいビックリ…」

「…おう」「無事に合流できて何よりです」

「運いいなぁ、津美紀の姉ちゃん」

「はじめまして。恵がお世話になってます」

「虎杖です。こちらこそ」


お初の虎杖と軽い挨拶を交わした津美紀は、病院の時と何も変わらない姿だった。

あの時は車椅子なしでは動けなかった体も、今は本来の状態を取り戻している。

その様子を見て、上空で待機していた来栖も安心したように降りて来た。


「私の出番がなくて良かったです」

「こっちは来栖。津美紀の姉ちゃんが空から落っこちて来た時のために、上を張っててくれたんだ」

「(ナイス虎杖。私の株を上げなさい。ただでさえスズさんに後れを取ってるんだから…!)」

「さっさと済ませよう。コガネ」

「家族の前だとより淡白になるの反抗期みたいね」

「カワイイです」

「昔はずっとあんな感じだったけどね」


顔を寄せ合いコソコソ話している3人を、伏黒はキッと睨みつける。

気を取り直すように1つ息を吐くと、離脱に向けて姉へ指示を出した。


「今津美紀に渡した100点…それを使って死滅回游から抜けられる。身代わりの話は真希さんから聞いてるな」

「コガネ、ルール追加。結界を自由に出入りできるようにしてちょうだい」

「は?」


想定と全く違う言葉が発せられ、虎杖は思わず声が出た。

他の3人も同じように、一瞬何が起きたか分からず呆然と立ち尽くす。

本来であれば、今頃はもう津美紀の死滅回游離脱が成し遂げられていたはずだ。

だが現実は、コガネの"承認されました!"という声が辺りに響き渡っている。


「津美紀さん…どういう、こと…」

「闘う場所は好きに選びたいじゃない」

「オマエ…誰だ!?」

「誰だ…?ですって?あなたのお姉さんよ!!伏黒恵!!……なんてね」

「恵…これって…何が…」

「伏黒!!どうなってんだ!?伏黒!!」


目の前の状況が飲み込めず、動揺するスズと虎杖。

だがそれは伏黒も同じであった。

姉は今まで呪術とは関係のない世界を生きてきた。

だからどこかで覚醒タイプの泳者だと決めつけていた。

受肉タイプだなんて、微塵も考えていなかった…


「私はよろず。昔の連中にならまだ通じるかもね」

「なんで…!今まで!!」

「あなた達が私に勝手に説明したんでしょう?死滅回游とその離脱プラン。労せず100点貰えるなら貰うわよ。

 千年ぶりの戦いよ。場所も相手も好きに選びたいわ。初めてはやっぱり宿儺。じゃあね、待ってるわよ」


そう言って口元に笑みを浮かべると、津美紀の体に入った万は背中から生やした羽で空へと飛び立つ。

しかし伏黒はもちろん、彼女と親交があったスズもまた、その場から1ミリも動くことができずにいた。


「追います!!」

「ああ!!スズ、伏黒のこと頼む!」


訳が分からないながらも、虎杖と来栖は2人の代わりに行動を開始した。



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