ホールの中心に置かれた獄門彊・裏。

その向こう側に五条悟がいる。

家入によって来栖・天使コンビが復活し、再び五条解放への光が灯った。

あとは最強呪術師の復活を待つだけだ。

スズとの再会まで、あともう少し…!





第105話 得喪





「待て」

「?」

「ここで解くつもりか?五条悟の封印を」

「え、うん。ダメなの?」

「確かに人を迎えるにはここじゃ味気ないかもな…少し飾り付けしようか。折り紙ある?こういう輪っかの作ろう…」

「そうじゃなくて…」


羽の冗談なのか本気なのか分からない発言をスルーし、天使は自身の懸念事項を語り出す。

物理的時間が流れていない獄門彊の中では、自死しない限り死は訪れない。

そんな中でハロウィンからの19日間を、五条悟がどう感じたか。

一瞬か、はたまた何百年も待ちぼうけを喰らったような状態か…

天使が危惧しているのはそこだった。


「五条がもし錯乱しているようなことがあれば、こんな狭い空間で封印を解くのは非常に危険…ってことでしょ」

「そ…それは確かに…」

「デンジャラスだな…」


家入の言葉に、虎杖や秤は冷や汗を流す。

現代最強の呪術師が暴れ回れば、国の1つや2つ軽く吹っ飛ぶだろうから…


「でもどうかな…」

「ん?」

「…あの子がいれば、どれだけ錯乱状態にあってもすぐ収まる気がする」

「スズか…彼女にはそんなすごい力が?」

「いや、力なんかいらないよ。スズの顔を見れば、それだけで五条は落ち着きを取り戻す」

「? そんなもので抑えられる男じゃないと思うが」

「分かってませんね〜天使は。それが"恋"ですよ。ね?」


来栖が家入に視線を送れば、彼女は小さく頷きを返す。

まだ納得できていない天使を他所に、その場にいたメンバーは揃ってスズへと視線を向ける。

東京校の2年生チームと話している彼女は、自分が話題になっているとは知らず穏やかな笑顔を見せていた。


「スズさんは、女の私から見ても素敵だと思います。だから男性なら余計でしょうね」

「ライバルが多くて大変だな、虎杖!」

「多くて当然だよ。あんないい子…好きになるに決まってる」

「ふむ。彼女が魅力的なのは分かったが、それでも念には念を入れた方がいい」


天使の慎重案を採用し、一同は五条解放の場を変更する。

到着したのは、埼玉県木呂子鉱山…呪術高専が抱える修練場の1つだ。

岩肌に囲まれた敷地のど真ん中に、羽が獄門彊・裏をセッティングする。

周囲に土嚢を積み上げた壁のようなものをいくつか作り、関係者達は数人ずつに分かれてその影に隠れた。

スズも虎杖・狗巻と共に身を潜め、今か今かと儀式の開始を待っていた。

解放の要である来栖が、獄門彊の真上に浮遊状態でスタンバイする。

そして…!

拡声器を持った狗巻の掛け声で、来栖は獄門彊に向かって"邪去悔の梯子"を放った。



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