応接室の床に座ったまま、スズを強く抱き締めている五条。

自分の腕の中にいる大好きな温かい存在に、彼の表情はとても穏やかだった。

こういう場面でいつもは照れて落ち着かないスズも、今日ばかりは違うようで…

五条の背中に手を回し、嬉しそうに身を預けているのだった。





第107話 再会 ー後ー





「俺ね…獄門彊から出てすぐ、スズの顔が浮かんだんだ」

「本当ですか…!」

「うん。早く会って、こうやって抱き締めたいって思ってたから、今すっごい幸せ」

「な、何かそう言われると…照れます」

「いいよ。俺、スズの照れた表情大好き」


少し体を離した五条は、スズの頬に手を添えてそう言った。

ふわっと笑いかければ、彼女の顔は一気に赤くなる。

"相変わらずすぐ顔に出るね〜"と楽しそうに言うと、五条は再びスズを抱き寄せた。


「さっき、出て来てすぐスズの顔が浮かんだって言っただろ?」

「うん」

「そん時にさ、スズに"おかえり"って笑顔で言われたら、嬉しくてぶっ倒れるな〜って思ったの」

「また…!先生はいつも大袈裟ですよ。…実際倒れてないし」

「そうな〜確かに倒れてはない。でも…代わりに今めちゃくちゃキスしたい」

「えっ…!」

「だからスズとしては、たぶん俺がぶっ倒れた方が安全だったよ」

「あ、安全…?」

「…油断してると唇奪っちゃうかも」

「!」

「それとも……していい?」


スズの唇を触りながら、五条は色っぽい表情を見せる。

長い腕が腰に回り動きを封じられているため、スズに逃げ場はない。

大人の色気全開で顔を近づけてくる五条にどう対応していいか分からず、スズは咄嗟に目を閉じた。


「(んな顔してっと、本当にしちまうぞ?)」

「そこまでだ、五条」

「! しょ、硝子さん…!」

「硝子〜空気読んでよ〜」

「読んだから声かけたんだよ。気になって見に来て良かったわ。危うくスズの貞操奪われるとこだった」


突然入って来た家入によって、五条のキスは空振りに終わった。

不満そうな顔を見せる同期に構わず、家入はスズを連れてさっさと部屋を出て行く。

残された五条は、床に座ったままソファに背中を預けた。


「(硝子が入ってくんのがあと少し遅かったら…してたよな、俺)」


スズへの欲望や行動を抑えられなくなってきている自分に苦笑しながら、彼は天井を見上げた。



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