五条によって撃ち込まれた開戦の合図。
その威力は、聞こえてきた音とモニターに映し出されている土埃から、相当なものであったと容易に想像できる。
世紀の大一番が、ついに始まった瞬間であった。
第111話 人外魔境新宿決戦A
一気に上がる心拍数を落ち着かせながら、スズは出発の準備をする。
と言っても、今回彼女の役割はほぼない。
故にすることと言えば、心の準備ぐらいなものだ。
何度か深呼吸を繰り返し、一度自分の頬を両手でパンと叩く。
そして虎杖達に一言声をかけてから、朱雀と共に建物を出て行った。
------
----
--
スズが新宿に到着した時には、既に最強同士が睨み合っている状態だった。
2人のちょうど真ん中辺りに姿を見せた彼女に、最初に近寄ったのは宿儺であった。
伏黒の体に入った王を見るのは、これが初めてのスズ。
伏黒としても宿儺としても見慣れないその姿に、彼女はしばし呆然と視線を向けていた。
そんなスズに微笑みかけながら、宿儺は優しく想い人の頬に触れる。
「だいぶ呪力が戻ってるな。顔色もいい」
「……恵に、酷いことしないでって言った」
「こればかりは仕方がなかった」
「他の皆のこともたくさん傷つけて…!」
「…俺が嫌いになったか?」
「……なった」
「そうか。だが俺は変わらずオマエが欲しい」
「えっ…!」
「一番近くで、ずっと愛でていたい」
「き、嫌いになったって、言ってる…じゃん」
「関係ない。傍にいれば、いずれ気持ちは変わる。言っただろ?オマエを俺に惚れさせる自信はあると」
「気持ちは、そんな簡単に…変わらないよ…」
「俺の気持ちも変わらぬ。変わらず…スズのことが好きだ」
「!」
「現代では、このように言うのであろう?」
妖しい笑みを見せながら、顔を覗き込んでくる宿儺。
突然の告白に、スズは自分の顔が熱を帯びていくのを感じる。
慌てて隠そうとしたが遅く、その手はあっという間に宿儺によって拘束されてしまう。
「ふっ。俺のことが嫌いなんじゃなかったのか?」
「き、嫌いだよ…!」
「嫌いな男相手にそんな顔をしてると…」
「…何?」
「この場で抱かれても文句は言えないぞ?」
「なっ…!」
より一層赤くなった顔を自分に向けてくるスズに、宿儺は妖艶に微笑む。
そのままおでこに唇を寄せようとした刹那…
スズの姿は王の前から消え去っていた。
- 305 -
*前次#
ページ:
第0章 目次へ
第1章 目次へ
第2章 目次へ
第3章 目次へ
第4章 目次へ
第5章 目次へ
第6章 目次へ
第7章 目次へ
短編 目次へ
章選択画面へ
home