何らかの方法で術式を治した五条は、再び領域を展開する。

今度の領域は、先程の経験をもとに外側からの攻撃に強い設定に変わっていた。

だが五条ができることは、呪いの王もできてしまう…

宿儺は領域の効果範囲を絞る代わりに、領域外での威力をさらに強いものにした。

結果、またしても五条の領域は破壊されたのだった。





第113話 人外魔境新宿決戦C





均衡が破れた直後から襲ってくる斬撃に、御三家秘伝の"落花の情"で対抗する五条。

そして三度みたび、両者は領域展開を発動した。


"ちょっと体に負担はかかるけどね"


スズの頭には、さっきからずっと師匠の言葉が巡っていた。

今の領域展開をしたことで、五条は既に2回焼き切れた術式を治していることになる。

ここでスズは考える。

負担をかけて術式が治る体の部位なんて、そんなにいくつもあるわけはない。

手足や内臓をどうこうしたからといって、それで術式が治るとはとても思えなかった。

ではどこか?どこなら可能性があるか…

スズはある1つの場所しか思いつかなかった。


「(脳だ…)」


具体的に脳のどの部分かなんてことは分からない。

でも生まれ持っての術式を司るとしたら、脳を置いて他にないだろう。

もしこれが正しいとすれば、どれだけ軽いものでも脳に何度も負担をかけるのは明らかな危険行為だ。


「(それを先生はもう2回もやってる…)」


3回目の五条の領域展開は、バスケットボールよりも小さいサイズで発動された。

領域が小さくなっていく過程で外に出たスズは、初めて俯瞰で頂上決戦を見ることになる。

宿儺の攻撃に耐える師匠の領域を見つめながら、スズの表情には不安が増していった。

それから数十秒後、もの凄い音が響くのと同時に五条の領域が破壊される。

しかし今回は宿儺の様子が違っていた。

領域の象徴である御廚子がガラガラと崩れ去り、王の胸部には五条の攻撃が見事に決まっていた。

それはつまり…

宿儺が外側から五条の領域を破壊するのと、五条が宿儺に領域を保てなくなる程のダメージを与えるのが同時だったということ。

新宿を広く使いながら再び肉弾戦に入る五条を見守る虎杖達は喜びに沸くが、スズの表情は浮かない。

きっと今、五条は再び脳に負担をかけて術式を治している。

許されるなら今すぐ止めに行きたい。

だがそれは師匠の大切な戦いを邪魔することになる…

ツラそうに目を閉じるスズの足は、どうしても動かなかった。

その直後だ…五条の鼻からツーっと血が流れたのは。


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五条の色白な肌に赤はよく映える。

故にごく僅かな出血であっても、スズにはすぐ分かってしまう。

それが、五条の体が限界寸前の状態を示しているということも…


「(スズの呪力が乱れてる…俺がやってること気づかれちゃったかな。あの日詳しいやり方は教えなかったんだけど…)」

「おい、スズに何した?」

「何のこと?」

「呪力が乱れてる。貴様が原因だろ」

「…確かに僕が原因かもね。スズが僕のこと心配してくれてるの。羨ましい?」


挑発的な表情を見せる五条に、不機嫌そうに舌打ちをする宿儺。

互いに焼き切れた術式を治療し、繰り出すのは…


「「領域展開」」


4回目の頂上決戦だった。



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